OKマイクロエキスカを用いた再根管治療

こんにちは、井関です。

根管治療のやり直しの治療のことを、感染根管治療と言います。
では、感染とはなんでしょう?
それは細菌がいるということです=細菌感染
本来、根管内には細菌が全くいません。それが何かしらの理由で細菌が根管内に侵入し、住み着いて増殖していきます。 その細菌が原因で、痛みが出たり、疼いたり、噛んで違和感があったり、歯ぐきが腫れたり膿が出たりします。 なので感染根管治療は根管内から感染(細菌)を取り除く治療というわけです。

では、どうやって細菌を取り除くかということですが、方法は2つです。 一つは、薬剤を用いて細菌を死滅させます。 もう一つは、機械的に細菌を除去します。 薬剤を用いる方法については、また別の機会にお話しします。 今回は機械的に細菌を除去する方法についてお話をしていきたいと思います。

では、機械的な細菌の除去とはどういうことでしょう? 感染根管治療とは先ほど申しました様にやり直しの治療なので、すでに一度治療されているわけです。そうなると、根管内にはガッタパーチャと言われる樹脂で根管充填されています。よく薬を詰めますねー、と言われて詰めるものです。

もともとガッタパーチャには当然のことながら細菌はいません。 しかし、根管内が細菌感染を起こすと、このガッタパーチャに細菌が付着してしまうのです。なので、ガッタパーチャをすべて根管内から除去しないと細菌の除去はできません。 ですが、ガッタパーチャを除去するというのは口で言うほど簡単ではありません。 通常用いられてる器具を使って(マイクロスコープを用いないで)、レントゲンで全てガッタパーチャを取り切れたと確認したとしても、 なんと!根管内の壁には70%もガッタパーチャは残っていて(レントゲンには写ってこないわずかなガッタパーチャが存在するということです)、

マイクロスコープを用いて根管内を見ながらガッタパーチャを除去しても10%位は根管の壁に取り残しがあるという報告があります。 しかし、私が先月講習を受けた岡口先生と柿沼先生が開発したOKマイクロエキスカという器具を用いれば、根管内をくまなく触ることが出来てガッタパーチャの取り残しが格段に少なくなるのです。 またOKマイクロエキスカは先端が非常に細く出来ているので、根管の外に飛び出してしまったガッタパーチャも引っ掛けて除去することが出来るすごいものです。

申し訳ないのですが、もしこのブログを携帯で見てる方がいらしたら、多分上の写真の違いは分からないと思います。パソコンで見ても大きな画面ではないと0.2ミリと0.3ミリの違いは分からないと思います。裸眼では全くこの2種類の違いは分かりません。

しかし、根管内をマイクロスコープで覗きながらこの二つを使うと0.3ミリと0.2ミリの差はとんでもない差なのです。なにせ数字だけ見れば1、5倍違うのですからね。 0.3ミリで除去することが困難だったガッタパーチャが、0.2ミリで除去を試みると非常に簡単に除去できる様になりました。

実は、0.3ミリのOKマイクロエキスカは普通に手に入るのですが、0.2ミリの方はまだ販売されていないのです。先月の岡口先生の講習会に参加した人に特別販売してくれた物なのです。なので先月の講習会に参加した人くらいしか手に入れることは不可能なはずです。多分日本で数十人しかまだ持ってないと思います。 余談ではありますが、なんとこの器具は私も知らなかったのですが、職人さんが一つ一つ手作業で作っているそうです。すごい技術ですね。

そして、これを用いるとこういうことが出来ます。
黒い線で描かれている部分が根の外形です。 赤矢印の部分が根から出てしまったガッタパーチャです。 きれいに除去できていることが分かると思います。 素晴らしい器具を入手できました。