親知らずは抜かなければならないのか?

親知らずがあるんですけど、抜いたほうがいいんですか?
親知らずって必要ないんですよね?

こんな質問をたまに患者さんにされることがあります。

答えはケースバイケースです。


本来、人間は親知らずを含め32本の歯があります。北京原人やピテカントロプスの化石ではしっかりと親知らずがあってちゃんと上下で噛んでいたのです。
しかし、人間の進化?退化?で親知らずがもともと無かったり、はえてこない場合があります。はたまた変な方向にはえてきたりします。


親知らずがあってトラブルを引き起こすことは確かに多いです。
例えば、一番奥にはえてくるので、歯磨きが難しく虫歯や歯周病になりやすく、痛みを引き起こす原因になることも良くあります。
また、親知らずが斜めにはえてきて噛み合わせが悪くなったり、隣の歯に悪い影響を与えたりもします。
確かにそういう場合は積極的に抜歯をした方が良いかもしれません。


私自身、大学を卒業したてで口腔外科の先生に教わってた時はレントゲンで親知らずを見つけると、すぐに抜けー、抜けーと言われ毎週の様に親知らずを抜歯してました。
お陰様で、親知らずの抜歯が上手くなりました。

しかし、きちんとはえていて虫歯にも歯周病にもなってない親知らずは最近は積極的に残す様にしています。

何故なら、移植という方法があるからです。


例えば奥歯で止むを得ず抜歯しないといけない歯があったとします。
従来であれば、抜いてインプラント、ブリッジ、入れ歯という選択肢しかなかったところ、抜いた歯の所に、親知らずを抜いて移植するのです。

言い方が悪いですが、もともと噛んでなかったりして利用価値の無い親知らずであれば、ただそこに存在してただけなので、その歯を再生利用することができるのです。


この話をするとほとんどの方が、 「そんなこと出来るのですか?」
と言われるのですが、結構な成功率(80〜90%)を示します。

当然自分の歯を移植するので、他人の臓器を移植する様な拒否反応もありませんし、インプラントをするよりも費用的にも安く済みます。
ブリッジの様に隣の歯を削る必要もありません。

何よりも自分の歯で同じ様に噛めるというのは良い事だと思います。

親知らず移植症例1

親知らず移植症例2

親知らず移植症例3

移植治療を受けた患者さんに予後を聞くと全く違和感が無いとよく言われます。
インプラントやブリッジの様な人工物を入れるよりも、自分の歯というのはやっぱり良いのかもしれません。
改めて、人間の力というのは凄いと実感する次第です、素晴らしいですね。

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