またも根管内に器具が折れている!

こんにちは、井関です。

先日、他医院からの紹介で、2本の大臼歯の治療を2回で終えてほしいとの依頼でした。
これはなかなか大変な依頼です。
たいてい1本の大臼歯の治療で、2回から3回、難しいと4回かかることもあります。
それを2本を2回で終えてほしいというのはいつもの倍以上のスピードで治療しないといけないという事です。
しかも、なんと根の中で3本も器具が折れているではありませんか!!

紹介してくれた先生も結構な無茶振りしてくるなと思いましたが、ここは頑張らないといけないところです。

左の歯の折れている器具は短く根の途中にあるので、これは簡単に取れると確信できたのですが、問題は右の歯の2つの器具です。
どちらも根の先端まであり、しかも右側はかなり長いです。
これは相当難しいぞと覚悟していました。
以前にもブログで書いてますが、折れた器具の長さが4,5ミリを超えると統計的に除去の成功率がいきなりガクッと落ちるのです。




あらゆるテクニックを用い、なんとか全て除去しました。
一番長いのはちょうど4,5ミリくらいです。
よくぞ出てきてくれました。
この後はいつも通りMTAセメントで充填しておしまいです。
折れた器具は必ず除去しないといけないわけではありません。
折れた器具自体が悪いことをすることはあまりないのです。
しかし、折れた器具の先に細菌感染が起きていれば、折れた器具を除去しないとその先の細菌を滅することは出来ないので、取らないといけません。
この歯は治療前は歯茎から膿が出てましたが、それもなくなり、先日お会いしたら全然問題ないとおっしゃられたので良かったです。

久々の学会

こんにちは、井関です。

この2年間ありとあらゆる学会や勉強会がコロナの為、中止になりZOOMやウェビナーでの話を聞くにとどまっていたのですが、
パソコンの前に数時間座り続けるのも疲れるし、やはり生で聞けないと面白みも半減するので、楽しくないなーと日々思っていました。

私はマクロスコープの使い手達の集まりである顕微鏡歯科学会という学会に所属しておりまして、先日、3年ぶりに学会が開かれ行ってきました。
結論から言うと、やはりライブで話を聞くのは面白いし、パソコンを通して聞くのとは熱量が大違い!
そして今日も新しいことを勉強できたな!という自己満足感が満たされて非常に楽しかったです。

学会では、色々な人が発表します。
大学に残って基礎的な研究をしている人もいますし、臨床で世界を股にかけ活躍している人、普通の町の歯医者さん、衛生士さんも発表をします。

また、こんなご時世ですが、懇親会も学会主催で開かれ、そこで知り合いの先生に数年ぶりに会って話をしたり、雑誌やパンフレットでしか見たことのない歯科界の著名な先生にご挨拶できたり新たな情報を教えてもらったりと非常に有意義な時間を過ごす事が出来ました。

シンプルな看板
東京で開催される時は、いつも竹橋が最寄駅の一橋講堂


井関先生!といきなり声をかけてきたのが、私が初めて勤めた医院の同僚の加藤先生 2019年6月のブログで書いた金沢旅行でお世話になったのが、彼です。
金沢からやってきて発表してました。
お互いに白髪増えたねって、苦笑い。


真ん中は私の大学の同級生で、埼玉の川越で開業している関口先生。
同級生で顕微鏡歯科学会に入ってるのは彼だけなんですよね、ちょっと寂しい。
左の方は、埼玉の川口で開業している渥美先生。
歯内療法(根管治療)の世界では知らない人はいないくらいの有名人です。
なんと、3人とも同じ年です。どう見えますか?

人事異動

こんにちは、井関です。

今まで私は、火水金と神谷町医院に勤務しております。
他の日はというと、川崎の方の医院に勤めておりました。
こちらではウケデンタルオフィスに勤務するずっと前からお世話になっており、 18年半もの長い間勤めていました。

しかし、2月に川崎の院長が急逝されまして、そちらの医院が閉院せざるをえない状態になりました。

驚いたことに、管理者という院長が亡くなると、歯科医院というのは10日後には閉院しないと いけない決まりになっているそうで、たった10日間で来院してる患者さん全てに連絡をしたり、 キリの良いところまで治療を終えなければいけなかったりで、非常にバタバタして大変でした。

当然のことながら、治療途中の患者さんもいましてどうしたものかと思ってたところ、 宇毛先生より、大井町でやったらどうか?と打診をいただきました。

話は変わりますが、3月いっぱいで7年勤めていました表参道の分院長の石黒先生が退職することになり、 神谷町と大井町で勤務をしていた露木先生が、表参道の分院長に就任しました。

すると大井町医院でのドクターが不足することになるので、4月より入社した信濃先生と私が露木先生の 代わりに勤務させていただくことになり、言い方が悪いですが、うまいことピースがハマった感じに 人事異動が出来ました。


これにより川崎の医院と大井町医院が電車で30分くらいと割と近い距離なので、 川崎の希望する患者さんを連れていって引き続き治療をさせていただく事が可能になりました。

神谷町医院は自費診療のみでやっておりますが、大井町では保険診療もやっておりますので、 川崎の医院では保険診療の患者さんもおりましたので、今までと同様に診させていただけるので、 安心しました。
また、自分の患者さんが神谷町で保険診療を希望した場合に、今までなら、石黒先生、中野先生、露木先生に分院で治療をお願いしてたわけですが、今後は曜日は限定されますが大井町医院で私自身が保険診療をする事が出来ますので、保険診療を希望する事がありましたら是非ご相談ください。

当面は土曜日出勤で、月曜日も日にはよるのですが出勤させていただきます。
今後は大井町医院でも宜しくお願いいたします。

新入社員 信濃先生

こんにちは、井関です。

今回はウケデンタルオフィスの人事移動についてご報告させていただきます。

3月を持ちまして、長らく働いていた表参道の分院長の石黒先生が退職されました。
それに伴い、神谷町、大井町医院で勤務しておりました露木先生が4月より表参道の分院長に就任いたしました。

また神谷町医院に新たな仲間として、信濃先生が4月より入社いたしました。


信濃先生はまだ若いですが、やる気に満ちており、
北海道大学の歯学部卒業という国立出身の秀才でありながら、
学生時代にはアイスホッケー部に入っていたという体育会系で、
まさに文武両道で誠実な男です。

また出身が院長と同じ北海道で、しかも院長と同じ左利きということもあり、院長が期待しまくっています。

期待に潰されぬよう、私達先輩がフォローしていきたいと思っていますし、 毎日少しずつで良いので成長していってもらいたいです。

今のままの情熱でウケデンタルオフィスにいれば、きっと数年のうちにかなりのレベルになり、
30代半ばにはゴッドハンドと言われる位に成長できるのではないかと私も期待しています。

池袋医院オープン

あけましておめでとうございます、井関です

今月から、ウケデンタルオフィスの分院が池袋にオープンしました
1月中は自費治療のみですが、2月より保険治療もスタートします
池袋近辺にお住まいの方、埼玉在住の方にはより近くになると思いますので、是非来院してください

池袋医院には神谷町医院に勤めてました木村先生が分院長として就任しました

皆最初は技術知識が足りなく、院長に教わりながら上手くなっていくのですが、 木村先生は私が見た勤務医の中で、勤務したての時からレベルが高かったです。
その年齢でそのレベルに達しいているなんて驚いたものです
そこから約2年の勤務の中で更に技術知識を積み重ねていきましたので、 間違いなく素晴らしい治療を池袋の地で発揮してくれると私は信じています。



池袋のホテルメトロポリタンの入り口です
地下1Fに池袋医院はあります


入り口です たくさんの花が届いてます


待合室で木村分院長をパチリと一枚


診療室は広々して開放感もありピカピカです
説明用ディスプレーも大きい!


木村先生がメインで使用する個室です
最新設備が凄い


CTG(Connective Tissue Graft) 歯茎の移植

こんにちは、井関です。

歯周病にかかったりすると歯茎が痩せたりします。
また、噛み合わせの問題や歯ブラシのしすぎでも歯茎が痩せたりします。
そして加齢的にも10年で歯茎は1ミリ下がるとも言われています。

では下がった歯茎は元に戻る、または戻せるのか?というとこれがなかなか難しいのです。
特に全体的に下がった場合は、不可能です。

しかし、こちらのように一箇所だけ下がっている(上の歯なので上がっているとも言えますが) ケースでは元に戻す事が出来る場合があります。

まずは写真をご覧ください。


術前

術後

術後1ヶ月で露出してた根っこが大分隠れました。
根っこがまだ露出しているように見えますが、前後の歯茎の高さと比べてみてください。
ほとんど同じ高さなのがわかるかと思います。
またこれは仮歯なので色も合ってないですし、歯茎近くまで削ってもいません。
最終的な被せ物になるのはもう少し先になりますが、その時には歯茎近くまで削り ほとんど根っこが露出しないようになります。

さて、どうやって歯茎を復活させたでしょうか?

答えは、歯茎を移植したのです。
この手術をCTG(Connective Tissue Graft)と言います。
歯茎を移植???となると思います。
またどこの歯茎を移植したのか?と疑問だと思います。

実は上顎(口蓋)の歯茎を移植したのです。
そんなことして良いのか?痛くないのか?
と思うでしょうが、割と昔からある手法で、痛みもそこまでありません。
1ヶ月もすると取った歯茎の部分もほとんど元通りになります。

この手術は歯茎が下がってるケース全部に出来るわけではありません。
下がり方によっては、出来ない場合もあります。
自分の歯茎を見て下がりが気になるようでしたら、ご相談ください。

巨大な歯茎の膨らみ(サイナストラクト)

こんにちは、井関です。

口の中のできもので一番多いのは口内炎だと思いますが、口内炎に関しては数日で消える事がほとんどです。
以前にもブログで書きましたが、根の病気でサイナストラクトという歯茎にできる膨らみがあります。
(サイナストラクトは以前はフィステルと呼ばれてましたが、今はその様な呼び方はしないようになりました)

サイナストラクトは歯茎や歯の周りの骨の中に溜まった膿が出てくる道で、歯茎が腫れます。
通常、あまり痛みもなく、体調が悪くなると出現し、数日して体調が復調すると消えます。
なので、出たり消えたりします。

だいたい下の写真くらいの大きさの膨らみ(直径3ミリくらい)ができる事が多いです。
この写真は前歯なので、自分で見たり気づいたりする事が多いですが、上の奥歯にできると自分では気付かない事もあります。

もう少し大きくなるとこんな感じです。
これくらいになっても根の治療を1、2回すれば消えて治ってしまいます。

しかし、先日今までに見たことのない大きさのサイナストラクトに出会いました。


これにはびっくりしました、およそ1センチ!
正直、これを通常通り根管治療すれば治るのかな?と考えました。
なので、根の治療と同時に外科的にこの膨らみを切って取ってしまおうかと思ったのですが、 患者様もお時間が無いとのことだったので、1回目の治療は根管治療のみで終えました。


すると一週間後、こんなに膨らみは小さくなりました。
麻酔して外科的に切って取らなくて良かったです。
痛みも出たかもしれないし、傷跡ももしかしたら残ったかもしれないので。
これでもう一度根管治療を行いました。

それから2週間後、ほぼ完全にサイナストラクトは消えました。
あんなおおきな膨らみが、根の中をたった2回治療しただけで消えてしまうんですよ、凄くないですか?

細菌感染が起きているから、ああなったわけで、細菌を除去、死滅させれば治るのです。
決して外科的に何かをしなくても、身体が勝手に治してくれるんですよね。
ちなみに今回の治療では麻酔もしませんでしたし、お薬を飲んでもらう事もなかったです。
人の身体って凄いと改めて実感しました。


新しい衛生士さん

こんにちは、井関です。

今回は新たにウケデンタルオフィス神谷町医院で一緒に働くことになった衛生士さんを紹介します。


羽田野さんです。

羽田野さんは常にノートを取って、分からないことをすぐに解決しようと、 先輩衛生士やドクターによく相談しています。
見てて偉いな、真面目だなと感じます。
またそのノートの字がキレイなこと、キレイなこと。ビックリします。

いつも元気ですし、動きも機敏で早く仕事ができる様になる為に、 頑張っている感じがとても好感が持てます。
以前に歯科医院でアシスタントとして働いていたので、飲み込みも早いですね。

職歴で面白かったのが、空港での空港保安検査員をやってたということです。
あの荷物をレントゲンで見る仕事です。
私も含め皆んなが、「へーーー!」と驚きました。
何かまずい物発見したことある?って聞きたくなりますよね?
すると麻薬とかは無いけど、色々ありましたって教えてくれました。
色々についてはここでは書けませんが(笑)

まだ先輩衛生士と同じ様には出来なくとも、毎日少しずつ出来る様になっていけば良いので 焦らずにじっくりやっていってもらいたいです。

珍しく義歯の話(レジリエンツテレスコープ義歯)

こんにちは、井関です。

今回は珍しく義歯(入れ歯)の話をします。

院長がインプラントが得意な事もあって、ウケデンタルオフィスには義歯の患者は少ないです。
しかし、インプラントに対し恐怖のある方、費用的、期間的に問題がある方、痛んだり腫れたりが 絶対嫌な方もいらっしゃいますので、その場合には義歯を選択せざるをえません。

実は私、根管治療も好きですが、歯科医師になって最初の就職先は、義歯で有名な先生の所というのもあって 義歯も結構好きな治療なんですよね。

今回の症例は、表参道医院で私が出張して行いました。
こちらの患者様は、とにかく早くに噛める様にして欲しいというのが一番の望みでした。
インプラントはどうしてもインプラントと骨がくっつくのを待たなければいけない事が多いので、 すぐに噛める様にはなかなかならないですよね。
(ケースにもよりますが)
その点、義歯は型を取れば次回には出来上がる事も可能なので、早さという点では義歯に軍配が上がります。

しかし、義歯というのはどうしても粘膜の上に乗る物ですから、 骨に埋入するインプラントに比べれば圧倒的に安定性が悪いです。

義歯の経験がない方には分からないと思いますが、
(実際には私もした事がないので正確には分かりませんが)
上顎は安定性が高いです、言い方が悪いですが、下手くそが型をとってもそれなりにくっつきます。
しかし、下顎はそうはいきません。
真ん中に舌があるので義歯を支える粘膜の面積が上顎に比べると遥かに少ないからです。

なので、義歯の世界では、下顎に安定した義歯を作る先生が名医と呼ばれますし、 その為に、様々なテクニックや材料を使います。

この患者様は、上顎には1本も歯が残っていないので総義歯になりました。
下顎には2本歯が残っています。
先ほども申し上げた様に、下顎の義歯を安定させることは難しいのです。
この残った2本を有効活用し、動かない入れ歯を作ることにしました。
レジリエンツテレスコープ義歯と言いまして、 残っている歯に金属の被せ物をします。これを内冠と言います。(白矢印の先)
そして入れ歯の中に外冠と言われる内冠にピッタリ合った金属を入れます。(黒矢印の先)
内冠と外冠が合わさると、茶筒の蓋みたいに取れるけどなかなか取れない形になります。
摩擦力で安定させるわけです。



そして入れ歯は安定性も大事ですが、やはり金属のバネを引っ掛けたりすると、 まず見た目が悪いです、そして口の中の異物感が強いです。
このレジリエンツテレスコープ義歯ですとその問題も解決されます。



笑った時の歯の見え方も自然です

この様に見た目はそんな装置が入ってるとは分かりません。
この義歯を入れた時に鏡で見てもらったら、ビックリされてました。
審美的にも拘っていた方なのでキレイに仕上げる事が出来て良かったです。
また使っていただいたら、ほとんど痛みが出る事もなく、すごく噛めるとおっしゃっていただけたので 嬉しかったです。


発想転換してみた歯根端切除術

こんにちは、井関です。

今回は、前々回と似た様な症例だが、違うアプローチで治療した話しをします。
是非、前々回のブログも一緒に見てください。違いがわかるかと思います。

この歯は以前に通常の根治療では治らず、歯根端切除術という根の先を切る手術をされています。
そして、根の先の方から、アマルガムという金属を詰められています。
これを逆根管充填と言います。

歯根端切除術は、以前は裸眼で治療したましたし、逆根管充填もアマルガムを使っていました。
そして成功率は50%位と言われてました。
しかし、現在はマイクロスコープを使いますし、逆根管充填もMTAセメントを使います。
すると成功率は94%にまで上がりました。

まあそういうことで、以前の歯根端切除術は成功率が低かったわけです。

前々回の症例では、逆根管充填にセメントが充填されていたので、なんとか根管内から除去する 事ができましたが、今回のアマルガムはセメントと違いとても硬いので割る事ができませんので、 歯根端切除術を併用しないと治す事ができないわけです。
(前々回は歯根端切除手術しないで治りました)


この様に以前に歯根端切除手術をして根の先の方からアマルガムが充填されています。
白矢印の先がアマルガムです。


アマルガム以外の根管内の物を全て除去したところです。


ここでアマルガムのところまでいつもの様にMTAセメントを詰めても良いのですが、 そうすると歯根端切除術をする時にはアマルガムのところまで全て削らないといけないわけです。
(黄色のラインまで)
そうすると、根の長さがおよそ3ミリほど短くなってしまいます。
根の長さが短くなれば、歯が動揺してきてしまいます。


そこで、アマルガムを一度外に押し出してしまおう!と考えました。
そうすれば、アマルガムの充填されているところまで、根管内をきれいにできますし、 3ミリ削らなくて済みます。
更にアマルガムを削って取ろうとすると削れた金属のカスがたくさん歯茎の中に残ってしまいます。
削りカスを全て取ることは現実的に不可能なんです。
これは一石二鳥だなと思い、やってみました。


また黄色矢印の先の白いもの、これもアマルガムなのです。
アマルガムを充填した時に溢れてしまったものです。

歯根端切除術と同時に押し出したアマルガムを撤去、取れたのが右の写真です。
黄色矢印の先にあったアマルガムの破片も一緒に撤去しました。


治療前後の写真です。少ししか根が短くなってないのがわかるかと思います。
発想の転換で、より長持ちする治療ができたのではないかと思います。