歯周病レーザー治療

歯周病(歯槽膿漏)とは

歯周病(歯槽膿漏)とは、歯周病細菌が異常繁殖し、歯茎に炎症が起こる病気です。

・歯肉が赤く腫れる
・出血しやすくなる
・歯の周りに多量の歯苔が付着し、口臭が悪化する

といった症状が見られますが、激しい痛みを伴うものではないため、放置し続ける方も見受けられます。しかし、状態が更に悪化すると歯が抜け落ちてしまうケースもありますので、早期の治療が必要となります。

歯周菌により歯周組織が破壊されると結合組織性付着が失われ、上皮のダウングロース(低下)による深い歯周ポケットが形成されます。これに伴い、歯根膜や歯槽骨が欠損して本来歯を支えるための歯周組織の機能が低下してしまいます。 1mmの歯肉溝と2mmの上皮付着と結合組織性付着の合計3mmの構造が歯周病細菌によって破壊されることを歯周病(歯槽膿漏)といいます。

歯周病の進行

上図のように、破壊の程度により歯肉炎、軽度歯周炎、中度歯周炎、重度歯周炎と進行していきます。

歯茎の構造と役割  歯肉炎について  歯周炎について

歯周病レーザー治療について

歯周病レーザー治療では、レーザーを照射することで細菌の減少を図り、炎症組織を蒸散させます。歯周病の原因となる、歯と歯茎の間のポケット(歯周ポケット)は、人それぞれ複雑な形状をしていますが、レーザーは光の一種ですので、その複雑な形状にぴったりと合わせた照射が可能であり、細菌を限りなく減少させることが可能です。
従来の歯周病治療は、症状により麻酔が必要であったり、出血が酷かったりと治療が思うように進まない事もあり、術後の治癒経過も遅い傾向にありますが、レーザー治療は麻酔が必要ない場合が多く、治療と同時に患部への殺菌・消毒や消炎も行える為、治癒経過も非常に良好となります。
故に、短期間での治療が可能ですので、患者さんへの負担が少ないという利点も持ち合わせています。
歯周病レーザー治療の流れ

歯周病・歯槽膿漏を治したいけれど、手術時の痛みが気になります。

歯周病レーザー治療の場合、わずか1万分の3秒という短い単位で照射を行うため、ほとんど痛みが生じません。

妊娠している、ペースメーカーを使用している等の理由で、身体への麻酔の影響が心配です。

歯周病レーザー治療では、患部の切開を行わず、レーザーでの蒸散を行うため、痛みがほとんど生じません。そのため、麻酔の回数を少なく抑える事が可能であり(麻酔が必要ないケースさえあります)ペースメーカーを使用している方、妊婦の方など麻酔の影響が大きい方の治療も可能となっています。

なるべく早く歯周病・歯槽膿漏を治したいのですが…

歯周病レーザー治療では、患部の殺菌・蒸散に加え、治療後の感染経路となる出血部位の止血と熱消毒を行えるため、治療後の経過が非常に良好であり、治癒も早い傾向にあります。 軽度の歯周病であれば1回、中度であれば週1回の治療を3~4回で治癒が可能です。
(その後のメンテナンスは必要です)

重度の歯周病・歯槽膿漏ですが、抜歯せずに治療を行えるのでしょうか。

重度の歯周病の方でも、GTR法、エムドゲイン法、GEM21Sといった、歯周組織再生療法や骨移植により、破壊された歯の支持組織を再生させ、なるべく抜歯せず、自分の歯を残しながら元の健康な状態に近づけることが可能です。

歯周病治療後、歯が長く見えてしまうのが気になります。

通常の歯周病治療では、歯肉を除去するので、治療後に歯が長く見えてしまうという欠点がありました。しかし当院では、歯周病レーザー治療に加え、歯周組織再生療法歯周整形治療(歯肉移植)を組み合わせることで、口腔内の審美性を保った歯周病治療が可能となっています。

実際の症例

40代男性、歯周病レーザー治療
歯磨き時の出血によりご来院。煙草をお吸いになられるため、線維性の歯肉の肥厚が認められます。
レーザー治療により歯肉の再生を促したことにより、ポケットの消失と歯磨き時の出血は無くなりました。

この他の歯周病レーザー治療の症例はこちらでご覧頂けます。

レーザーで歯周病が治るその根拠

当院において19 ~76歳の歯周病患者1180人(男性:460人、女性:720人。歯周ポケットの深さが4mm以上6mm以下の方で、プロービングによる出血を認めたもの)を対象に、検査(1被験者に対して2歯面に行い、被験部位は無作為に選択しました。ただし、上・下顎第二大臼歯の遠心面は、検査部位から除外しています。)を行いました。

その結果、レーザーを使用した治療の方が、使用しなかった場合に比べ、有意差をもって歯周病の改善が認められました。

PD減少量(歯周ポケットの深さの減少量) 1.89mm
治癒率 72.0%
BOP陰性化率(歯茎からの出血が無くなった率) 78.2%

当院で使用しているレーザーについて

レーザーとは電磁波のエネルギーの一種で、光(電磁波)を増幅し、一定の波長を保つ光を発生させる装置のことです。その波長は赤外線、可視光線、紫外線領域で波長は10mm-1mm以内であり、指向性や収束性に優れています。また、電磁波の波長を一定に保つことができるため、虫歯、根、知覚過敏の疼痛軽減、麻酔や顎関節治療、粘膜切除や蒸散、水力学的切開など様々な分野で応用されています。
レーザーは波長によって名称があり、歯科治療で用いられるレーザーは主に、

・Nd:YAG(ネオジウムヤグレーザー)1064nm
・Er:YAG(エルビウムヤグレーザー)2940nm
・CO2(炭酸ガスレーザー)10600nm

です。波長の違いにより、組織に与える影響や生体反応が違います。
ネオジウムヤグレーザーは水に吸収されず熱が組織の深部に到達するため、使用する際は充分注意する必要がありますが、それに対しエルビウムヤグと炭酸ガスレーザーは水に吸収されず、組織の深部に到達しないため安全に使用が可能です。
強い殺菌・消毒効果を持ち、波長が遠赤外線領域に近く、組織深部への影響がほとんど無く安全に使用できるという理由から、当院では炭酸ガスレーザーを使用しています。
レーザーについてもっと詳しく知る



治療の流れ

来院1回目

カウンセリング、口腔内診査を行い、症状の原因が歯周病かどうかを判定します。

来院2回目~7回目

レントゲン検査、歯周精密検査を行い、歯周病の程度を把握し、治療の回数を決定します。重度の場合はCT撮影をおこない、3次元的に骨の状態を診査します。口の中の歯(28歯)を6ブロックに分けて1ブロック4~6歯ずつ、治療を行います。治療時間は1ブロック1時間30分です。最初にレーザーにより細菌の殺菌と炎症組織の除去を行い、歯根の表面に付着した歯石、歯垢を除去します。除去した歯の表面はざらついているので磨きをかけて歯石、歯垢が再度付着しづらい状態にします。最後に歯周ポケット内に抗菌薬をいれて科学的に菌を殺菌します。

治療終了後2週間後

もう一度、歯周精密検査を行い、どのくらい改善したかを診査し、今後のメンテナンスの間隔を決定します。

メンテナンス

治療終了後、約3か月で元の細菌数の30%が戻ってくることが証明されています。そういった意味でメンテナンスを行うことが非常に重要になってきます。