特殊な根管「MB3」

こんにちは、井関です。
今回は非常に珍しい症例を報告させていただきます。

当院において上顎第一大臼歯、第二大臼歯の根管治療は非常に多く、毎日の様にこれらの歯の治療を行っています。
なぜ、これらの歯の治療が多いかと言いますと、一つの特徴があるからなのです。
上顎大臼歯は通常、近心頬側根、遠心頬側根、口蓋根という3つの根があります。
そして、一つの根に対し根管は1つであることがほとんどなのですが、
唯一、3つの根の中で近心頬側根では、一つの根に対し2つの根管があることが多いのです。

一つを近心頬側根管(MesioBuccal root canal)通称MB、もう一つを近心舌側根管(MesioLingual root canal)通称ML、もしくはMB2と言います。
どちらかというとMB2と言われることが多いので、この後もMB2と表記させていただきます。

で、MBはマイクロスコープを用いなくても簡単に見つかるのですが、MB2が問題なのです。
このMB2見つかるときは、裸眼でも簡単に見つかるのですが、見つからないときは、マイクロスコープを用いても見つけることが非常に困難なことが多いのです。
なので、マイクロスコープを使わないで治療をされている医院では見落とされてしまうことが多いのです。

そうなると、見落とされたMB2は治療されないわけです。
当然そこに感染があると治らない。
しかし、見つけることは困難。(マイクロスコープを使っても)

そこで登場するのがCTです。

ここで知っている人は知っている一つの法則があります。
これを知っているとMB2が簡単に見つかるのです。
企業秘密ですが、発表しちゃいましょう!(笑)

根の中に根管があるわけですが、根の中に一つの根管しか無い時は必ず根管は根の中心にあるのです。もし、一つの根管が根の中心にないときは、ほぼ100%もう一つ根管があるのです。

左のCTを見て下さい。

隠れた根管

治療されてる根管が赤矢印の方にあることがわかると思います。
しかし、根の中心に無いですよね?中心より右側に寄っていることがわかると思います。右のCT(断面図)でもわかると思います。
こういう時は、必ず左側の方にもう一つ根管(MB2)があるのです。
何となく黒い筋(黄色矢印)があるのが分かると思います、これがMB2です。

しかし、先日いままでに見たことの無い症例に出会いました。これです。

珍しい根管MB3の断面図

MB3発見!!!

珍しい根管MB3

つまり一つの根に3つの根管があったのです。
長いこと歯科医をやってますが、初めて見ました。
講演会や本でMB3があるということは知っていましたが、出会うことができるとは。ビックリと共にちょっと興奮しました。

おそらくCTだけでも、マイクロスコープだけでも、どちらか一方しか持ってなければ発見出来なかったと思います。
両方が揃ったことによって、発見出来た症例だと思います。

あらためて、CT、マイクロスコープの凄さを実感しました。