こんにちは、井関です。
今回は、前回に引き続き非常に珍しい症例を紹介させていただきます。
前回紹介した歯は上顎大臼歯ですが、下顎の大臼歯も根管治療をよく行います。
上顎の大臼歯の第一大臼歯と第二大臼歯はかなり似ている形をしています。
第三大臼歯(親知らず)は様々な形をしています。
下顎の大臼歯も、第一大臼歯、第二大臼歯、第三大臼歯(親知らず)とありますが、上顎に比べ、各歯牙で形が違います。
似ているようで似てないんですね。
よって、根の形や数、根管の数も違ってきます。
今回は下顎第一大臼歯に絞ってお話しさせていただくのですが、下顎第一大臼歯は下の図のように2根で3根管であることが多いです。
しかし、たまに3根4根管のことがあります。
青矢印の先の黒い部分が根管です
先日、学会にいきましてその報告によると、欧米人はほとんど2根3根管で、3根4根管はアジア人に多いらしいです。
日本人では3根4根管は約28%と4歯に1歯なわけなので、そう珍しくはありません。
しかし、先日50代の男性の下顎第一大臼歯で非常に珍しい形態に遭遇しました。
術前のCTで3根であることはわかっていましたが、赤矢印の根の形がちょっと楕円形を呈していました。
ん?なんか通常の形とは違うなと思いながら、根管治療をしていると、
やっぱりおかしい。
マイクロスコープで見ていると遠心頬側根に根管が2つ(黄色矢印)あることが判明しました。
初めて見ました。多くの歯科医師がもしかしたら一生出会う事がないくらい、珍しい形態です。
CTとマイクロスコープがなければ、きっと治療を成功に結びつけることは出来なかったと思います。
改めて、CTとマイクロスコープの凄さというか、有り難みを感じました。