診査診断の重要性

こんにちは、井関です。

今回は一つの症例を見て頂きたいと思います。
出来ましたら、3つ前のブログも読んでいただいて比較をしていただくと面白いと思います。
非常に似ている症例なのです。

患者様は左下の奥歯の歯茎に膨らみができて、そこから膿が出てくるという主訴で 来院されました。

下の写真の様に奥から2番目の歯の歯茎に膨らみが出来ています。

レントゲンではこの様な状態でした。
黒矢印の先の白い線は歯茎の膨らみからレントゲンに写る棒状の物を入れています。
それによって膿が出てきている原因がどこにあるか探っています。
そうすると、この歯の後ろの根に向かっていました。

なので、通常通り右下の奥から2番目の歯の治療に移ろうかと思ったのですが、
何かおかしい??????

この歯は銀の詰め物がしてあるが、虫歯になっている感じがしない。

その為、この歯に微量の電気を流し、神経が生きているか死んでいるかの検査を しました。

すると、生きているではないですか!

通常、神経が死んでいる歯、もしくは根管治療している歯にこの様な膨らみが出ます。
生きている歯にはあまり出ることはありません。
(たまに歯周病の時に出ることもありますが、この歯は歯周病にはかかっていませんでした)

じゃあ何故、歯茎に膨らみがあるのでしょう?

そこで、もう一枚レントゲンを撮りました。

すると、一つ後ろの歯の根の先に黒い影があることが分かりました。
(矢印の先です)

あ、これは後ろの歯が原因歯だと私は確信しました。

一体どういうことでしょうか?

これは一番奥の歯の黒い影の膿の溜まっているところから、一つ前の歯の歯茎に膿が 出てきていたのです。
こういうことはたまにあります。

いくつかのきちんとした診査をしないと原因の歯を特定できないこともあるのです。
逆にきちんとした診査をしなかったら、健康ななんでも無い歯の神経を取ってしまう という最悪なことになるかもしれないのです。

そのような事が決して無い様に、当院では診査診断に時間をかけ、その内容を患者様に きちんと説明してから治療に入る様にしております。

治療前後の比較になります。
黒矢印の先の膨らみがなくなっている事がわかります。
根管治療後、セラミックの被せ物をしております。