日本人ではわずか0,9%のMM根管に遭遇!

こんにちは、井関です。

先日、知り合いの先生から根管治療の依頼を受けました症例をお話しさせていただきます。

その患者様は特に症状はなかったのですが、根管の一箇所に穴が空いていて(赤矢印)、 その周囲の骨が溶けていました。
また、根の先にもレントゲンで骨が溶けているのが確認されました。(白矢印)


ブログでも何回も載せていますが、根管内の穴がある場合マイクロスコープ無しで治療は 不可能に近いので、抜歯となってしまいます。
しかし、マイクロスコープを用い、MTAセメントで穴を封鎖してしまえば ほとんど問題なく治ってしまいます。
なので、今回の治療はそれほど大変ではないなと思っていました。

治療を始めるとすぐに穴が空いているところは見つかりましたが、 穴が空いていたせいで前医はこれ以上触る事が出来なかった為、 ここから先は、初めて触ることになります。
通常、下顎第一大臼歯の手前の根は、1つの根に対し2つの根管です。 たまに2つの根管がくっついて1根管になってしまうことも良くあります。
しかし、今回は2つの根管を発見した後に、マイクロスコープで良く見ると 2つの根管の間に何か凹みを見つけました。
するとありました、もう一つ根管が!
Middle Mesial根管、通称MM根管が見つかりました。
数年ぶりに発見です!
日本人のMM根管の出現率は0,9%と言われているので、かなりのレアものです。
こういう珍しい根管に出会えると嬉しくなっちゃうんですよね。
しかし、嬉しくはなりますが、治療の難易度はグッと上がります。
さらに1根管余分にMTAセメントを詰めなけれがいけないですからね。

CTでみるとこんな感じです。
やはりレントゲンで見るよりはっきりわかります。
これは治療途中です。
赤矢印の先は根管に穴が空いて、骨が溶けています。
白矢印の先は根の先の骨が溶けています。


違う角度でCTを見るとこんな感じで明らかに根管が3つあることがわかります。


最終的には穴が空いている所と共に根管内をMTAセメントで充填して終了です。
穴が空いている所にもMTAセメントが入っている事がわかると思います。(赤矢印)


角度を変えてレントゲンを撮ると3根管全てにMTAセメントが充填されている 事がわかると思います。
こういう穴が空いているケースはMTAセメントがないと治療が成功するとは思えないですし、 マイクロスコープがなければ、治療不可能なケースです。
やはりMTAセメントとマイクロスコープはすごい材料と機材ですね。