術後6年

こんにちは、井関です。

今回は、このブログを始めた頃に掲載した患者様が久々に来院されまして、 その時に行った治療がどうなったか報告させていただきます。

6年前にいらした患者様の最初のレントゲンはこうでした。

患者様は、以前に通常の根管治療をしても治らず、更に歯根端切除術という根の先を切る外科処置を 2度しても治らず、歯茎を少し触るとすぐに膿が出てくる状態でした。
白矢印の先の黒い部分は、骨が溶けて膿が溜まっています。
赤矢印の先の白い部分は、逆根管充填材といい根の先の方から詰め物をしています。

このブログを読んでいただいている人ならわかるかもしれませんが、 根管治療は根の中をキレイにして細菌の数を出来る限り減らすことが最も大事なのですが、 この治療で一番難しいと思ったのは、この逆根管充填材を取れるのかということでした。
これを取れなければ、根管内はキレイにならないのですから。

逆根管充填の材料は色々あるのですが、昔はアマルガムという金属を詰めるのが主流でした、 その後セメントで詰めるようになり、現在はMTAセメントで詰めます。
もしこの逆根管充填材が金属のアマルガムだったら、根管内からの除去は不可能でした。
しかし、セメントだったので、根管内からセメントを半分に割り除去できました。
すると、次の週に歯茎から膿が出なくなりました。

すべて除去できました  除去できたセメントです



そして、MTAセメントを充填しました。


ここまでが2014年です。
よろしければ、2014年10月のブログも読んでみてください。

マイクロスコープの可能性 – 逆根管充填材の除去


それから6年の歳月が流れ、今度は他の歯に問題が出て再来院されました。
その時にどうなってるか心配だったので撮らせていただいたのがこのレントゲンです。


便りが無いのが元気な印という言葉もありますが、ずっと心配でした。
しかし、根の先端の黒い影はなくなり、骨が戻ってきています。
ホットしましたし、無事6年間持ってくれたことが嬉しかったです。

白矢印の先には黒い影が残っています。
これは根の先の病気が大きい時になりがちなのですが、 骨が完全に戻り切らず、骨の中に空洞ができてしまうのです。
これは膿では無いので、治す必要はありません。
おそらく何か骨を触らない限りは、一生このままです。
しかし、症状が出ることはありません。


術前、術後です。
かなり治っている事がわかるかと思います。

 治療前(2014年8月)  治療後6年(2020年7月)