こんにちは、井関です。
今回は、前々回と似た様な症例だが、違うアプローチで治療した話しをします。
是非、前々回のブログも一緒に見てください。違いがわかるかと思います。
この歯は以前に通常の根治療では治らず、歯根端切除術という根の先を切る手術をされています。
そして、根の先の方から、アマルガムという金属を詰められています。
これを逆根管充填と言います。
歯根端切除術は、以前は裸眼で治療したましたし、逆根管充填もアマルガムを使っていました。
そして成功率は50%位と言われてました。
しかし、現在はマイクロスコープを使いますし、逆根管充填もMTAセメントを使います。
すると成功率は94%にまで上がりました。
まあそういうことで、以前の歯根端切除術は成功率が低かったわけです。
前々回の症例では、逆根管充填にセメントが充填されていたので、なんとか根管内から除去する
事ができましたが、今回のアマルガムはセメントと違いとても硬いので割る事ができませんので、
歯根端切除術を併用しないと治す事ができないわけです。
(前々回は歯根端切除手術しないで治りました)
この様に以前に歯根端切除手術をして根の先の方からアマルガムが充填されています。
白矢印の先がアマルガムです。
アマルガム以外の根管内の物を全て除去したところです。
ここでアマルガムのところまでいつもの様にMTAセメントを詰めても良いのですが、
そうすると歯根端切除術をする時にはアマルガムのところまで全て削らないといけないわけです。
(黄色のラインまで)
そうすると、根の長さがおよそ3ミリほど短くなってしまいます。
根の長さが短くなれば、歯が動揺してきてしまいます。
そこで、アマルガムを一度外に押し出してしまおう!と考えました。
そうすれば、アマルガムの充填されているところまで、根管内をきれいにできますし、
3ミリ削らなくて済みます。
更にアマルガムを削って取ろうとすると削れた金属のカスがたくさん歯茎の中に残ってしまいます。
削りカスを全て取ることは現実的に不可能なんです。
これは一石二鳥だなと思い、やってみました。
また黄色矢印の先の白いもの、これもアマルガムなのです。
アマルガムを充填した時に溢れてしまったものです。
歯根端切除術と同時に押し出したアマルガムを撤去、取れたのが右の写真です。
黄色矢印の先にあったアマルガムの破片も一緒に撤去しました。
治療前後の写真です。少ししか根が短くなってないのがわかるかと思います。
発想の転換で、より長持ちする治療ができたのではないかと思います。