MTAセメント:イメージ図

MTAセメントとは?

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MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントとは

従来の根の治療の充填材(根管充填材)としては、ガッタパーチャポイント(以下:G.P.)と呼ばれる熱帯の木から生産される天然ゴム(樹脂)製の物が使用されてきました。
G.P.は根管充填材として150年近くの歴史がある材料であり、現在でも最も頻繁に使用されている根管充填材です。

しかし、根管内における穿孔(穴)や、根先端部の破壊等が見られるケースではG.P.では治療が難しく、そこから感染して周囲の骨の吸収や歯茎の腫れ・痛みを引き起こしてしまうことから、抜歯を余儀なくされることも多々ありました。
封鎖性に優れたMTAセメントであれば前述のようなケースでも細菌の侵入を防ぐことができるので、抜歯を回避できる可能性が非常に高まります。当院でもアメリカで開発されたMTAセメントを用いることにより、これまで多くの歯を救ってまいりました。

ガッタパーチャ(G.P.)の成分

ガッタパーチャ 18〜20%
酸化亜鉛 61〜75%
ワックスおよびレジン 1〜4%
重金属硫酸塩 2〜17%

MTAセメントの歴史

1993年 アメリカ、ロマリンダ大学、Mahmoud Torabinejadが発明。
1998年 以降、諸外国では様々な臨床応用が認められています。

AAE(アメリカ歯内療法学会)によると、

"A Cement-like material used as a root-end filling material,for perforation repair and pulp capping,and as a root-end barrier in teeth with an open apex."

「根尖に詰める、歯根内部の穿孔、歯髄覆とう(直接覆髄)、歯根未完成歯の根尖に用いられるセメントのような材料」と説明されています。

先進国ではG.P.より優れた根管充填剤としてMTAセメントが積極的に用いられていますが、日本は諸外国より遅れをとっており、2007年4月に「直接覆髄材料」としてのみ薬事承認されただけに留まっています。

MTAセメントの成分

粉末 ポルトランドセメント 酸化カルシウム 75%
酸化アルミニウム
二酸化ケイ素
その他
石膏
酸化ビスマス(造影剤) 5%
液体 精製水 20%

MTAセメントの利点

封鎖性に優れている

封鎖性に優れていることがG.P.との大きな違いとなります。
G.P.の場合、それ自体では歯質に接着することは出来ず、シーラーと呼ばれる接着剤を用いる必要がありますが、MTAセメントはそれだけで歯質接着性があるため、歯に対して機械的、化学的に接着することが出来ます。

また、MTAセメントの固まる際に1.0%ほど膨張する性質によって、より隙間なくしっかりと埋めることができます。「G.P.+シーラー(接着剤)」と比較すると、MTAセメントは格段に封鎖性に優れているため、細菌の侵入を防ぐことができます。

硬組織誘導能

MTAセメントを用いることで、吸収されてしまった骨と歯を再生することができます。
MTAセメントは持続的に水酸化カルシウムを徐放(じょほう:成分が徐々に放出)します。これにより歯だけでなく、根の外の吸収された顎の骨の再生も促します。G.P.にはこのような能力はありません。

優れた殺菌性(強アルカリ)

多くの細菌は酸性には強いものの、PH9.5(アルカリ性)で死滅すると言われています。MTAセメントの練和直後はPH10.0程度ですが、3時間後にはPH12.5と強アルカリ性を示すようになり、高い殺菌性を発揮します。
根管充填剤を使用する際には根管内を出来る限り無菌化にしますが、口の中で完全な無菌というのはほぼ不可能で、細菌がわずかに残ってしまいます。しかし、わずかに残った細菌もMTAセメントの優れた殺菌性によって死滅します。
G.P.には殺菌性はありません。

硬化すると固い

G.P.は樹脂なのでかなり柔らかい材料ですが、MTAセメントは固まるとかなりの強度を持ちます。

硬化後24時間 40MPa
硬化後21日後 67MPa

67MPaというのは、歯に詰める金属のアマルガムより若干柔らかいくらいです。
強化型酸化亜鉛セメント(IRMセメント等)と同等の硬さになり、歯根破折の防止となります。
また、MTAセメントを根管内に充填した上に、グラスファイバーを用いたレジンによる支台築造(歯に建てる土台)を行うと、さらなる封鎖性の向上と、耐歯根破折が期待できます。

親水性

MTAセメントは親水性であり、根管内に多少の水分(出血、浸出液も含む)が残っていても使用が可能です。実際、根管内で完全乾燥は不可能に近いため、完全乾燥しないで使用できるというのは臨床上非常に重要なことです。「G.P.+シーラー(接着剤)」での根管充填は教科書的には、完全な乾燥が出来なければしてはいけないことになっていますが、先に述べたように根管内の完全乾燥は不可能に近く現実的ではありません。

生体親和性が良い

細胞がこの上で培養出来るくらい体に優しい材料です。

レントゲン不透過性

MTAセメントはG.P.同様にレントゲンに写ります。MTAセメントを充填した後にレントゲンを確認することで、正しく処置が行なわれたかどうかを評価することができます。

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