こんにちは、井関です。
先日、二人の患者様が初診でいらっしゃいまして、最初にこんな風に話し始めました。
「少し前から、門歯(もんし)が、、、、、」
門歯???
私の頭の中では、 「んん?門歯?聞いたことある、大学で習ったような気もする、 確か前歯の事じゃなかったっけな?」
当然、患者様には、「ああ門歯ですね、どちらの前歯ですか?」と あたかも知っているかのように振る舞いましたが、しばらく頭の中では、 「門歯ってなんだっけ、どこの歯だっけ?」 とずっと門歯がぐるぐると回っていました。
一般の方が立て続けにお二方も「門歯」という単語を普通に使っていることに ちょっと驚きました。「門歯」ってそんなにメジャーな単語ですかね? しかし、私も歯の専門の仕事をしているならば、きちんと知っておかなければ いけないなと思い調べてみました。
今回はそれにまつわるちょっとした歯の豆知識についてお話致します。
歯は、図のように前歯と奥歯に分けられます。 前歯は、中切歯、側切歯、犬歯となります。 中切歯と側切歯を合わせた4歯(上下だと8歯)を切歯、門歯と言います。 通常は切歯と呼びますが、門歯というのは哺乳類の切歯を指す言葉なので 人間も哺乳類なので、人間も門歯と呼んでも間違いではなさそうです。
では、ここで問題です。
次の言葉はどの歯を指す言葉でしょう?
- 糸切り歯
- 押歯
- 大黒歯
- 恵比須歯
- 親知らず
- 智歯
- 真牙
- 愛歯
- 犬歯 これは普通に使われる言葉ですよね。
- 犬歯 八重歯の事を押歯と昔は言ってたらしく、なんと古事記に八重歯を押歯と書かれていたそうです。
- 上顎左側側切歯
- 上顎右側側切歯
- 親知らずは、よく使う言葉ですよね。 親が知らない年齢になって生えてくるからこう呼ばれているわけで、18〜24歳が 生えてくる時期と言われています。(生えてこない人もいます) ちなみに徳川3代将軍家光の時代の俳句に親知らずという単語が使われたのが、 日本での最初の記載らしいです。
- 智歯は、欧米では「wisdom tooth」と呼ばれています。それの日本語訳ですね。 親知らずに知恵があるわけではなくて、 「一人前の人間として、分別できる年頃に生えてくる歯」という意味です。
- 真牙は、中国の古文書に載っていたらしく、やはり一人前のしっかりした身体に 成長した頃に生えてくる歯という意味です。 杉田玄白の解体新書にも真牙という言葉は使われていました。
- 愛牙は、韓国で使われている言葉です。 青年が愛を囁く年頃に生えてくる歯という意味らしく なかなかロマンチックな言葉ではないでしょうか。
※ 3、4はなんと!広辞苑に載っているらしいです。
※ 5、6、7、8はすべて第三大臼歯です。
最後にもう1問。
ゾウ、イッカク、イノシシ、セイウチの牙はどこの歯と考えられているでしょうか?
ライオンや虎の牙はすぐに上顎犬歯と分かりますが、
ゾウ 上顎切歯
イッカク 上顎左側切歯
イノシシ 上顎犬歯
セイウチ 上顎犬歯
だそうです。
ゾウとイッカクはびっくりですよね。
色々と調べてみるとなかなか面白かったです。