ペリオスコピーとは?歯ぐきの中を確認しながら行う歯周病治療

はじめまして。歯科衛生士の細田です。今回初めてブログを書かせていただくことになりました。少しでもわかりやすくお伝えできるようにまとめましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

今回は、歯ぐきの中を確認しながら行う歯周病治療についてお話しします。そのときに使用するのが「ペリオスコピー」という機器です。

ペリオスコピーは、歯と歯ぐきの境目にある歯周ポケットの中に挿入し、内部の状態を確認するための直径約1mmのとても細いカメラです。

サブタイトルにもありますが、歯ぐきの中を実際に見たことがある方は、ほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。

「歯ぐきの中ってどうなっているの?」
「そもそも歯周ポケットって何?」

そう思われる方も多いと思います。歯周ポケットについては、また別のブログで詳しくご紹介します。

では、ペリオスコピーについて少し詳しくお話しします。

ペリオスコピーとは?

ペリオスコピーは、直径約1mmの超小型カメラ(ファイバースコープ)を歯周ポケットの中に挿入し、歯ぐきの内部の状態を確認できる機器です。

歯ぐきの中に付着した歯石や炎症組織を約40〜50倍に拡大し、モニターで確認しながら治療を行うことができます。

インジケーターを装着したペリオスコピーの本体
操作するためのインジケーターをつけた状態のペリオスコピーです。
先端のカメラ部分の画像です。

ペリオスコピー先端のカメラ部分
先端のカメラ部分の画像です。

マイクロスコープとの違い

ここで、よく使用されるマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)との違いを簡単にご紹介します。

項目 マイクロスコープ ペリオスコピー
見る場所 歯の表面・口腔内 歯ぐきの中(歯周ポケット内)
仕組み 外から拡大して見る顕微鏡 小型カメラを歯周ポケット内に挿入
主な用途 精密治療(根管治療・虫歯治療など) 歯周病治療
拡大倍率 約3〜20倍 約40〜50倍
見え方 外側から細かい部分を確認 歯ぐきの中を直接観察
特徴 精密な歯科治療を可能にする 歯石や炎症組織を確認しながら治療可能
治療のメリット 精密で丁寧な処置が可能 歯石の状態を確認しながら処置しやすい

このように、どちらも「拡大して見る」機器ですが、見る場所が大きく異なります。

マイクロスコープは歯の表面などを外から拡大して観察する機器ですが、ペリオスコピーは歯ぐきの中を直接確認できるカメラです。

ペリオスコピーを使う理由

これまで歯周病治療では、歯ぐきの中の歯石を感覚を頼りに除去する場面もありました。

しかしペリオスコピーを使用することで、歯ぐきの中をモニターで確認しながら歯石を取り除くことができます。

ペリオスコピーで歯周ポケット内の歯石を確認しながら処置するイメージ
モニターで歯石を確認しながら処置を行っている様子です。

そのため、歯石の状態を確認しながら、より丁寧に歯周病治療を進めやすくなります。

また、状態によっては外科的な処置を避けられる可能性もあります。

導入している歯科医院が限られる理由

当院では、約6〜7年前にこの機器を導入しました。現在、日本国内でも導入している歯科医院は多くなく、約33台ほどと聞いています。

「そんなに良い機械なら、すべての歯医者さんにあればいいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、

  • 機器自体が高価であること
  • 高倍率での治療になるため時間がかかること

などの理由から、導入している歯科医院は限られています。

私たち歯科衛生士にとっても、歯周病治療を行ううえでとても大切な機器のひとつです。

次回のブログについて

次回のブログではなぜペリオスコピーがいいのか、メリットや保険診療との違いについてご紹介します。

最後までご覧いただきありがとうございました。

歯科衛生士 細田

歯周病は自分で治せる?歯みがきだけでは改善しにくい理由

先月のブログをご覧いただき、ありがとうございます。今回の記事を担当するのは、歯科衛生士4年目の勝倉です。よろしくお願いいたします。

「歯周病は歯みがきすれば治りますか?」
「歯みがきを頑張っているのに治らないのはなぜですか?」

このようなご質問を患者さまからいただくことがあります。

歯みがきのときに痛みはないのに血が出る、フロスに血が付く、口臭が気になる、といった症状はありませんか。こうした症状がある場合、歯周病の可能性があります。

歯周病は、成人の多くにみられる身近なお口の病気です。歯みがきで歯周病が治ると思っている方も少なくありません。

しかし実際には、進行した歯周病を歯みがきだけで改善することは難しいのが現実です。

この記事では、歯周病の重要なポイントである「歯周ポケット」と、セルフケアの限界、そして歯科医院での治療の必要性について解説します。

歯周ポケットとは?

歯周ポケットとは、歯と歯ぐきの境目にある溝(歯肉溝)のことです。

健康な歯ぐきの場合、この溝の深さは1〜2mm程度で、歯みがきによって汚れを落としやすい状態です。

健康な歯周組織のイメージ図
この段階では歯ブラシでの対策ができますね

しかし歯周病が進行すると、

  • 歯ぐきが炎症を起こす
  • 歯ぐきが下がる
  • 歯と歯ぐきの間が深くなる

という状態になり、歯周ポケットが4mm以上に深くなることがあります。

この歯周ポケットの中には、

  • 歯周病菌
  • 歯垢(プラーク)
  • 歯石

がたまり、炎症がさらに進行することがあります。

問題は、この深いポケットの中には歯ブラシが届きにくいという点です。

歯周ポケットが深くなった重度歯周炎のイメージ図

セルフケアの限界

毎日の歯みがきは歯周病予防にとても大切ですが、セルフケアだけでは取りきれない汚れがあります。

特に問題になるのが次の2つです。

① 歯石は歯ブラシでは取れない

歯垢(プラーク)は時間が経つと硬くなり、歯石になります。

歯石になると、

  • 歯ブラシでは落ちない
  • 表面がザラザラして菌が付きやすい

という特徴があり、歯周病の進行に関わる原因の一つになります。

そのため、柔らかいプラークの段階で歯ブラシを当て、落とすことが大切です。

② 歯周ポケットの奥の汚れ

歯周ポケットが深くなると、

  • 歯ブラシが届かない
  • 細菌が増殖しやすい
  • 炎症が続く

という悪循環が起こります。

そのため、歯みがきを頑張っていても症状が改善しないことがあるのです。

ではどうしたらいいのでしょうか?

歯周病を改善するためには、歯科医院での専門的な治療が重要になります。

歯科医院では主に次のような治療を行います。

① スケーリング(歯石除去)

専用の器具を使って、「歯石」や「プラーク」を取り除きます。これは、歯ブラシでは取れない汚れを除去する基本治療です。

② ルートプレーニング

歯周ポケットの奥にある「歯石」や「細菌のかたまり」を取り除き、歯の根の表面をなめらかに整えます。これにより、細菌が付着しにくい環境を作ります。

③ 定期的なメンテナンス

歯周病は再発しやすい病気のため、

  • 定期検診
  • クリーニング
  • 正しいブラッシング指導

などを継続することが大切です。

まとめ

歯周病は、初期段階であればセルフケアで改善が期待できる場合もありますが、進行した歯周病は歯みがきだけでは改善が難しい病気です。

特に重要なポイントは次の3つです。

  • 歯周ポケットが深くなると歯ブラシが届きにくい
  • 歯石は自分では除去できない
  • 歯科医院での専門的な治療が必要になる

歯ぐきの腫れや出血などの症状がある場合は、早めに歯科医院で相談することをおすすめします。早期発見・早期治療によって、歯周病の進行を防ぎやすくなります。

次回のブログについて

次回は、当院でも取り入れている歯周病治療の方法の一つである「ペリオスコピー」についてお伝えします。ぜひご覧ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

歯周病治療では何をするの?歯ぐきの中の歯石の取り方を歯科衛生士が解説

先月のブログをご覧いただき、ありがとうございます。今回の記事を担当するのは、歯科衛生士として11年目になる小池です。ご覧いただく方にとって、役に立つ歯科の情報をお届けできれば嬉しいです。よろしくお願いいたします。

前回は、歯ぐきの中にある「見えない歯石(縁下歯石)」についてお話ししました。

歯ぐきの中にできる歯石は外から見えにくく、歯ぐきの炎症が続く原因の一つになることがあります。

患者さまからも、「歯ぐきの中の歯石ってどうやって取るの?」「歯ぐきの中の歯石を取るなんて怖そうだね」といったご質問をいただくことがあります。

では、歯科医院ではこの歯ぐきの中の歯石をどのように取り除いているのでしょうか。

歯周病治療の基本は、「歯石を取り除くこと」です。

特に大切なのは、歯ぐきの中にある歯石や細菌のかたまり(プラーク)をできるだけ取り除き、炎症が続きにくい状態に整えていくことです。

歯ぐきの中に付着した歯石のイメージ

 

※石のように見えるものが歯石です。見える部分だけでなく、歯ぐきの中の深いところまで付着していることがあります。

歯石を取る場所によって、処置の目的や使う器具が少し異なることをご存じでしょうか。

スケーリングとは?

歯石を取り除く処置を「スケーリング」といいます。

スケーリングでは専用の器具を使って、

  • 歯の表面の歯石
  • 歯ぐきの中の歯石

を取り除いていきます。

歯ぐきの状態によっては、数回に分けて治療を行うこともあります。

スケーリングで使用する器具

 

※スケーリングで主に使う道具です。左が超音波スケーラー、右が鎌型スケーラーです。

ルートプレーニングとは?

歯ぐきの奥深くまで歯石がついている場合は、ルートプレーニングという、歯の根の表面をなめらかに整える処置を行うことがあります。

歯の根の表面をきれいにすることで、

  • 細菌が付きにくくなる
  • 歯ぐきの炎症が改善しやすくなる

といった効果が期待できます。

ルートプレーニングで使用するキュレットスケーラー

 

※ルートプレーニングでは、部位に合わせたキュレットスケーラーを使います。

見えない歯石はどうやって取っているの?

「歯ぐきの中の歯石は、どうやって確認しているの?」と思われるかもしれません。

しかし、歯ぐきの奥の歯石は非常に見えにくい場所にあります。

実際、歯石は歯ぐきの中の約5mmから、深い場合は1cm以上奥に付着していることがあり、肉眼で確認することは難しいことが多いです。

また、歯の根の形は写真のように複雑で、部位によって形が異なります。

歯の根の複雑な形状の例

 

歯ぐきの中の歯石を取るのは簡単ではありません

従来の歯周病治療では、歯ぐきの中の見えにくい歯石に対して、器具の感触を頼りに処置を進める場面があります。

そのため、歯石が深い場所にある場合や、歯の根の形が複雑な場合には、処置が難しくなることがあります。

歯ぐきの中の歯石や細菌をしっかり取り除くことは、実際には容易ではありません。

近年では、直接確認しながら処置を行う方法もあります

近年では、歯周ポケットの中を直接確認しながら歯石除去を行う方法も用いられるようになっています。

当院でも、このような方法を取り入れています。次回以降、その内容についてもわかりやすくご説明していきます。

気になる症状がある方へ

次のような症状がある場合は、歯周病のサインかもしれません。

  • 歯ぐきから血が出る
  • 歯ぐきが腫れている
  • 口臭が気になる

歯ぐきの出血や腫れが気になる方は、早めに状態を確認することをおすすめします。

ウケデンタルオフィスでは、お口の状態を確認したうえで、必要なケアや治療について丁寧にご説明しています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

次回のブログについて

次回は、患者さまからよく聞かれる「歯周病は自分で治せない?」についてお伝えします。ぜひご覧ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

歯ぐきの中の歯石とは?出血・腫れが続く原因と受診の目安

今回、3年ぶりにブログを更新することになりました。これから皆さまにとって役立つ情報や、医院での出来事などを、できるだけわかりやすくお届けしていきたいと思っています。

今回の記事を担当するのは、歯科衛生士として9年目になる中村です。どうぞお付き合いいただけますと幸いです。

今回は、歯の表面ではなく、歯ぐきの奥にできる「見えない歯石」について、わかりやすくご説明します。

歯ぐきから血が出る、歯石を取っているのに腫れが続く、口の中がネバネバする。このような症状がある場合、歯ぐきの中にある「見えない歯石」が原因の一つになっていることがあります。

歯石というと、歯の表面につくものをイメージされる方が多いですが、歯ぐきの奥の歯周ポケットの中にも歯石ができることがあります。

歯ぐきから血が出ることはありませんか?

患者さまとお話ししていると、「歯ぐきから血が出るのはなぜですか?」というご相談をよくいただきます。

定期的に血が出る方、たまに血が出る方など、症状はさまざまです。

また、

  • 歯ブラシで血が出た
  • 歯間ブラシやフロスで血が出た

など、出血する場面にも違いがあります。

ご来院の際に、そのような状況を教えていただけると診察の参考になります。

次のような症状はありませんか?

  • 歯みがきをしているのに歯ぐきから血が出る
  • 口の中がネバネバする
  • 歯石を取っているのに歯ぐきが腫れる

このようなお悩みがある場合、歯ぐきの中の歯石が関係していることがあります。

歯石には2種類あります

患者さまから、「歯石を取ったのに、まだ血が出たり腫れている感じがします」というご相談をいただくことがあります。

実は、歯石には2種類あります。

歯ぐきより上の歯石と歯ぐきの中の歯石の違い

歯ぐきより上の歯石(縁上歯石)

歯の表面に見える歯石です。

【特徴】

  • 白っぽい色
  • 比較的やわらかい
  • 通常のクリーニングで取れる

多くの方がイメージする歯石はこちらです。

歯ぐきの中の歯石(縁下歯石)

歯ぐきの中の歯周ポケットにできる歯石です。

【特徴】

  • 黒っぽい色
  • 非常に硬い
  • 外からは見えない
  • 歯ぐきの炎症が続く原因の一つになる

この歯石があると、歯ぐきの炎症が続き、歯周病の進行に関わることがあります。

歯ぐきの中の歯石が付着しているイメージ

歯周ポケット内の歯石に関する説明図

歯ぐきの中に歯石があるとどうなる?

歯ぐきの中に歯石があると、次のような症状が出ることがあります。

  • 歯ぐきの腫れ
  • 歯みがき時の出血
  • 口臭
  • 歯ぐきが下がる
  • 歯がぐらぐらする

歯周病は自覚症状が少ない病気のため、気づいたときには進行していることも少なくありません。進行すると、歯を失う原因になることもあります。

自分で取ることはできる?

歯ぐきの中の歯石は、ご自身で取ることは難しいと考えられます。

【理由】

  • 歯ぐきの奥にある
  • 非常に硬い
  • 専用の器具が必要になる

そのため、歯科医院では歯周ポケットの中の状態を確認し、必要に応じて専門的な処置を行います。

歯ぐきの腫れや出血が気になる方へ

歯ぐきの出血や腫れは、歯周病の初期サインであることが多い症状です。早めに検査やクリーニングを行うことで、歯ぐきの状態を改善できる場合もあります。

特に、

  • 歯みがきのたびに血が出る
  • 腫れが続いている
  • 歯石を取ってもすっきりしない
  • 口臭が気になる
  • 歯ぐきが下がってきたように感じる
  • 歯がぐらぐらする感じがある

このような症状がある場合は、一度確認することをおすすめします。

まとめ

歯ぐきの中の見えない歯石が、出血や腫れなどの原因になっていることがあります。見た目では分かりにくいため、「歯石は取っているのに治らない」「少し血が出るだけだから大丈夫」と思っていても、歯ぐきの中に原因が残っている場合があります。

ウケデンタルオフィスでは、お口の状態を確認したうえで、歯ぐきの中に原因があるのか、どのようなケアや治療が必要かを丁寧にご説明しています。気になる症状が続く場合は、悪化する前に一度ご相談ください。

次回のブログについて

次回は、「歯周病治療の内容(歯ぐきの中の歯石の取り方)」について、わかりやすくお話しします。

最後までご覧いただきありがとうございました。

最後のブログ

こんにちは井関です。

この度、開業することになりまして、11月末を持ちましてウケデンタルオフィスを退職することになりました。

歯科医師になった時から、私の生まれ育った千葉の市川で開業することを目標にここまでやってきました。

10年ほど前から、物件探しはしていたものの、なかなか良い物件は出てこなかったのですが、昨年ようやく希望に叶った物件が出てきまして、開業することになりました。

ウケデンタルオフィスに入職したのは、2011年2月です。

今から12年以上も前ですが、当時のことははっきりと覚えています。

入職直後に、あの東日本大震災が起こり、患者様と一緒に避難した時に、患者様は外国の方だったのですが、「日本に来てこんなに大きな地震初めてだよ」と言われ、「私もこんなの初めてですよ」と言ったことを覚えてます。

その直後、全ての電車が止まってしまい、街が大混乱となり、私は自宅まで徒歩で帰りました。

その次の日から電車がほとんど動いていない状態で、なんとか出勤すると私と院長しか出勤できず、二人でどうしたものかと頭を抱えていました。

あれから干支が一周したんだなとなんとも感慨深いです。

このブログを私が書き始めたのが、2014年5月でそれから今回で92回目になります。

こんなにたくさん書いたのかというのが、正直な感想です。

私のブログなど、見てくれる人なんているのかと思いながらずっと書いてきましたが、中にはブログ見て来院された方もいらっしゃいましたし、すでに来院されてる方が、前回のブログ興味深かったですよ。と言われたりもして、わずかでも見てくれる方がいるのは励みになりました、ありがとうございます。

今まで、たくさんのスタッフ、ドクターと一緒に働けたことは本当に自分の財産であり、また院長や他のドクターはもちろん、スタッフからも自分の知らないことを教わり、様々な経験もさせていただき、歯科医師として、入職した時に比べ一回りも二回りも成長させてもらいました。

改めて院長は元より私と関わったスタッフ全ての人に感謝したいと思います。

そして、毎回毎回の治療が、私にとって勉強であり、課題を与えてくれて私を成長させてくれました。

私の治療を受けていただいた患者様にこの場を借りて感謝を申し上げます。

先ほども言いましたが11月末で退職致しますが、院長よりもう少し手伝ってくれないかと嬉しいお言葉を頂けましたので、来年1月の中旬から、水曜日のみにはなりますが、しばらくは神谷町医院に週一回勤務させていただきます。

最後に、このブログを今まで見ていただいた方、ウケデンタルオフィスに来院していただいた全ての患者様にお礼を申し上げたいと思います。

長い間、本当にありがとうございました。

                                

井関 真良

露木先生退職、並びに表参道医院閉院のおしらせ

こんにちは、井関です。

6月末をもちまして、6年間勤務していた表参道医院の分院長露木先生が退職されました。
仲間が一人いなくなるのは大変寂しいことですが、露木先生は、かねてより歯医者であるお父様と一緒に働いて、
お父様の後を継ぐ決心をしていましたので、露木先生が次のステップに羽ばたくのを応援することにしました。

しかし、それに伴い表参道医院が閉院になりました。
表参道医院に通っていただいた方々、長いことありがとうございました。
まだ治療が残っていたり、メンテナンスに通っている患者様には、大井町医院、池袋医院、神谷町医院への転院をお願い致しました。ご不都合をおかけいたしますが、今後とも宜しくお願いいたします。

送別会は、4医院のスタッフが集まり盛大に行われ、もちきれない量の花束と、院長よりオシャレなメガネがプレゼントされ、露木先生は終始ご満悦の様子。
コロナで忘年会等が中止になり、久々に皆で集まれたのも嬉しかったですね。

表参道で使っていた道具、機材は各医院に移動しまして、中でも一番大きい機材がマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)です。
表参道には2台あったのですが、その両方を神谷町医院に持ってきました。
これにより、とうとう神谷町医院は全てのユニット(椅子)にマイクロスコープが常備されることになりました。
これはなかなか凄いことなんです、日本に歯科医院はたくさんありますが、全てのユニットにマイクロスコープが設備されているところはそう多くありませんので。

そして13年私の相棒として活躍してくれたマイクロスコープは、知り合いの先生に譲ることになりまして、
表参道のマイクロスコープが私の新たなる相棒となりました。
以前のマイクロスコープに比べ、明るく見やすいのです。
そして、写真ではわかりづらいですがカメラが付いてまして、これにより治療中の写真や動画を撮れるようになりましたので、
患者様に自分のお口の中や、歯の中を画面で見てもらえますし、画面見ながら説明もできるようになりました。
今までは、口頭でしか説明しかできなかったことが、実際見ながら説明できると歯ってこんなふうになっているんだ、虫歯がこんなところに出来ているんだと、患者様の理解も深まるのではないかと思っています。

旧マイクロスコープ

新マイクロスコープ

根管治療の様子です

ICR 侵襲性歯頸部外部吸収

こんにちは、井関です。

おそらく多くの一般の人は歯科医院に一度かかるとそこで全ての治療ができると思っているのではないしょうか?

以前は確かにそういうものでした、しかし、歯科の世界も細分化され、色々と専門分野に特化した治療をする先生が多くなりました。

その為、自分では出来ない治療や得意ではない治療において、その分野に精通している先生に治療をお願いすることが良くあります。

例えば、当院では基本的に矯正をやっていないので、提携している矯正医に矯正をお願いしたり、非常に難しそうな親知らずの抜歯は口腔外科の先生にお願いしたりします。

逆に、当院の院長はインプラントが得意な為、多くの先生からインプラントをしてほしいと患者様を紹介していただいたりしています。

先日、矯正の先生から私の元に抜歯をしないで、根管治療で治してほしいという依頼がきました。
その矯正の先生は宇都宮の先生ですが、わざわざ都内の当医院に依頼をしてきたのです。
これは、相当なプッレッシャーです、そして非常に珍しい症例でした。

今回は、その症例についてお話をしたいと思います。

矯正の先生からは、内部吸収をしているので治してほしいと言われてたのですが、レントゲンを撮って良く見てみるとこれは外部吸収でした。

内部吸収というのは、歯の内部が溶けてしまう病気で虫歯とは違います。
虫歯は虫歯菌によって歯が溶かされていくわけですが、内部吸収は歯の中に何らかの理由で破歯細胞という細胞が発生してそいつが歯の中を溶かしてしまう病気です。

外部吸収も同様に虫歯ではなく、破歯細胞が歯の外側から歯を溶かしていき歯の内部に吸収が侵攻する病気です。

上のレントゲンを見ていただくとわかると思いますが、赤矢印の先(歯の外側から)吸収が開始され、歯の内部に吸収が向かい黄色矢印のところまで歯の内部が溶けてしまっているのです。

この病名は、ICR(Invasive Cervical Resorption)「侵襲性歯頸部外部吸収」(しんしゅうせいしけいぶがいぶきゅうしゅう)といいまして、
治療法は吸収している部分を全て除去し、薬液で消毒しなんらかの材料でその部を封鎖します。

今回歯の上部は健全な部分がたくさん残っているので、上から直径3ミリほどの小さな穴を開けそこから、根の内部の吸収部を除去しようと試みました。

すると吸収部にはただ単に歯が溶けているのではなく、肉芽という歯茎の一部が入り込んでしまっているので、穴を開けた瞬間に血が噴き出してきて、血まみれで中を見るのが困難な状態でした。

そこで肉芽を様々な器具や技で除去をし、出血を止め薬剤で消毒しました。
言葉で書くのは簡単ですが、これには非常に時間がかかりとても困難な治療でした。そこにMTAセメントを用い、根の先端の方(赤矢印)と吸収部(黄色矢印)を同時に埋めました。

黄色矢印の左の方を見ていただくとわかると思いますが、外にはみ出しているのがわかるかと思います。

これはMTAセメントを押し込んで、わざとはみ出しています。

この後歯茎を開いて、はみ出したMTAセメントと除去しきれていない外部吸収部を除去して、グラスアイオノマーというセメントにより同部を埋めました(赤矢印)。
これも言葉にして書くと簡単なのですが、これをピッタリ埋めるのが非常に難しかったです。

珍しい症例なので、頻繁に出会うことはないと思います。
この病気は適切な方法を取らなければ治すことができませんし、正直、最も難しい治療の一つでした。

しかし、もしこのブログを読んでいただいた人の中で、自分も同じようなレントゲン像で治しようがないと言われた方がいたら、
ご連絡いただけたら、お力になれるかと思います。

唯一の総義歯(総入れ歯)の患者様

こんにちは、井関です。

ウケデンタルオフィス神谷町本院では、院長がインプラントが得意ということもあり、残念ながら、抜歯にいたった方は、
インプラントになることが多いです。もしくはブリッジになる方がほとんどで、義歯の患者様はほとんどいません。
部分入れ歯の方は数人いらっしゃいますが、総義歯(総入れ歯)つまり歯が一本もない方は一人しかいません。

その一人の方が、昨年数年ぶりにいらっしゃいました。
なんと、御年90歳!近くにお住まいで一人で歩いて来ます。
良く歯が少なくなると、ボケたりアルツハイマーになりやすかったりと言いますが、
(これは科学的に証明されています)この方には一切当てはまりません。
何年も前のことをしっかりと覚えていて、おしゃべりも流暢。
スーパー元気で、ハイカラなおばあさま!
こんな元気な90歳なかなかいませんよ。

少し義歯がゆるくなってきたということと、義歯の歯の部分(人工歯)がすり減ってきて、噛み合わせが低くなっている
ということで、話し合いを致しまして、新たに義歯を作り直すことになりました。

2021年6月のブログにも書きましたが、私はウケデンタルオフィスに来る前はしょっちゅう入れ歯の処置をしていたので、
根管治療も好きですが、義歯の治療も好きなんです。

義歯の治療で難しいのは、下顎の義歯を動かないよう(くっつく)に作ることなんですが、
幸いにもこの患者様は、もともと私が8年前に入れた義歯が調子良くそれほど問題なく使えていました。
今回は下顎の義歯が少しゆるくなってきた程度だったので、下顎はもともとの義歯を少し改造し、
上顎は金属床という義歯を新たに作ることにいたしました。
この金属床というのは、うわあごの部分のみ金属で作ります。
メリットはうわあごの部分を薄く作ることができるので、装着感が良いのと、金属にするので温度を感じることができます。
それと強度が上がります。

写真でみるとこんな感じです。

表側

裏側

 

上下の義歯が入った状態

口元も自然な感じに仕上がりました、本当は上顎の義歯をもう少し前に張り出すことで、上唇の上の部分の僅かなシワも
なくしたかったのですが、90歳という年齢も考えると、全くシワもないというのも変ですし、患者様もこれが良い!って
言っていただけたので、このように仕上げることになりました。
また、この患者様のお孫さんが、実は歯医者さんなのです。(口腔外科医なので義歯はやらないとのこと)
なので、同業者に見られるというプレッシャーの中でやっているようなものでした。
お孫さんにも「おばあちゃん、若くなった!すごい上手な入れ歯だよ!」といっていただけたそうです。
ほんと一安心です。
ご本人に顔出しOKをおいただきましたので、写真を上げさせていただきますが、
年齢を考えるともう少し暗い色の歯の方が普通は合います。
でも、とても元気な方なので、これくらいの歯の色の方が私的には合っていると思いますし、より元気な感じになると思い
あえて少し白い歯を選択しました。良かったのではないかなと思っています。

義歯を入れてから、3ヶ月後経過観察で来院していただきました。
もう何でも食べられる!
とんかつも食べられるし、りんごも食べられる、パンも噛み切れる!
と仰っていただき、こちらも大変嬉しかったです。
総義歯の方で、なかなか前歯でりんごをかじるのは難しいものなのです。それなのにりんごまで噛めるとは。
パンも、咬めても噛み切れるというのはなかなか難しいのです、本当にビックリです!

被せ物もそうですが、入れ歯も使っていれば必ず僅かなズレが出てくるので、
チェックして噛み合わせを少しずつ調整をする必要があります。

ですので、噛み合わせのチェックをしたところ、僅かに一箇所調整したい部位がありました。
調整しようとしたところ、患者様からのまさかの一言!

「触らないでちょうだい!」

え?

「私の入れ歯史上、今が最高に噛めるの!触ったら咬めなくなるかもしれないから、触らないでちょうだい!」

こちらもプロですから、絶対にそんなことにはならないように調整できるわけですが、患者様の気持ちを尊重しました。
それ以上に、そこまで今回の義歯を気に入っていただけたことに心底嬉しく思います。
こういう仕事ができた時、歯科医師になってよかったなって思う瞬間ですね。

昨日、チェックでまた来院していただき、少しだけ調整させていただきました。
91歳になっても変わらずお元気で、入れ歯も調子が良いそうです。
記念に写真を撮らさせていただきました。

1年ぶりの学会

こんにちは、井関です。

コロナもだいぶ落ち着き講習会や学会もオンラインだったのが、会場で直接開催されるようになりました。
私が所属している日本顕微鏡歯科学会が福島の郡山で開催されるということで、久々に地方出張に行ってきました。

郡山駅です、こちらは西口で栄えてますが、東口はびっくりするくらい人が歩いておらずこんなにも同じ駅なのに栄え方が違うのかと

ビックリ!そして、駅のお土産屋さんや食事処にも「歓迎 日本顕微鏡歯科学会」と貼られ、更にビックリ!

郡山の人には悪いですが、そんなにイベントがないんでしょうか?

この学会に来ているのは全国のマイクロスコープ使いの猛者達です。

全ての治療でマイクロスコープを使ってる先生もいたり、こんな細かい治療をできるのかという症例を出す先生もいたりで、

私にとっては、大変勉強になりますし、これは真似しようと思ったりで明日からの糧になり大変楽しいし、有意義な時間でした。

やはり、生で見て聞くのはいいですね、モチベーションが上がります!

懇親会会場は少し前には考えられないくらい超密でした(笑)

新たに知り合いになれた先生もいたり、有名先生と直接お話ができたりして

大変有意義な時間を過ごさせていただきました。

昨年も一緒だった同級生の関口先生と一枚

顕微鏡を扱っている歯科医師、根管治療を得意としている先生で知らない人はいないと言えるレジェンド三橋先生と一緒に

写真撮っていただきました。

わざわざ郡山まで行くのには最初躊躇してましたが、行って良かったです。

明日からもっと上手くなろう!頑張ろう!という気持ちが沸々と湧き上がってきました。

詰め物をした後に歯がしみるのはなぜ?

こんにちは、ウケデンタルオフィス 歯科医師の井関です。

詰め物をした後に冷たいものがしみた経験はありませんか?あれは何で起こるのでしょう?

いくつか原因が考えられます。


①そもそも虫歯が取りきれていない

②虫歯が大きくて、もとから神経にダメージがあった、もしくはもう神経を抜かないといけない状態だった

③歯を削ったあと、およそ1ヶ月くらいは神経が充血していて、いわゆる知覚過敏になっている

④仮の詰め物は熱の伝導性が良くないのですが、金属の詰め物は熱の伝導性が良いのでしみる

⑤実はちゃんと詰め物がくっついていない


①そもそも虫歯が取りきれていない

まず①は論外と言えると思いますが、実は虫歯を取りきれていなくてしみることはあまりないのです。

えー、虫歯が残っていたら痛いでしょ?と思うかもしれませんが、よほど神経に近くない限り虫歯は痛くないのです。

ただし、数年後にまた痛みが出たり、虫歯が再発というか大きくなっていたり、詰め物が取れたりします。

②虫歯が大きくて、もとから神経にダメージがあった、もしくはもう神経を抜かないといけない状態だった

③歯を削ったあと、およそ1ヶ月くらいは神経が充血していて、いわゆる知覚過敏になっている

②と③は非常にありうることです。

②の状態だと、もう神経の処置をしないといけないわけです。

③は歯を削るという行為が行われれば、神経の充血というのは必ず起こります。

しかし充血状態なら、1ヶ月の間にしみるのはおさまります。

問題なのは、②の状態なのか③の状態なのかは、様子を見なければわからないということなのです。

要は1ヶ月待っていただかないといけないわけです。これが、歯科医師にとっても、患者様にとっても辛いのです。待てば自然に治るかもしれないし、早くに神経の処置をした方が良いのかもしれないし、非常に判断が難しいのです。

なので、良くもう少し様子を見ましょうとなるわけです。

④仮の詰め物は熱の伝導性が良くないのですが、金属の詰め物は熱の伝導性が良いのでしみる

④は金属の詰め物、いわゆる銀歯の時は結構な確率で起きます。
特に詰め物を入れた当日は冷たいものがしみることは多いです。

大抵は数日から1週間程度で慣れるというかおさまります。しかし、②や③の状態なのかもしれないので、ここも判断が難しいところです。

⑤実はちゃんと詰め物がくっついていない

⑤の詰め物がくっついていないってあり得ないでしょ?
だったら外れてくるし、と思われるでしょう。

実は、しみる原因の一番がこれです。

え?と思うかもしれませんが、詰め物の一部が付いていれば結構外れないものです。

そして、付いてない部分というのは目に見えない顕微鏡レベルで言えば隙間が空いてます

そこに細菌が入ってくるとしみるのです。

詰め物を付ける時、セメントやボンディングと言われる接着剤を使ったり、さらに良く付くように歯の表面や詰め物の表面に薬剤を塗り接着力を増したりと工夫をします。

そして、根管治療でも必ず使うラバーダム防湿をします。

ラバーダム防湿をなぜするのかというと、歯に何かを付けるという時に、湿度というのは非常に邪魔な存在なのです。

口の中の湿度って90%を超えるのです。

簡単に言えば、サウナの中で絆創膏を貼るようなもので、くっつきづらいのが容易に想像できますよね。

ラバーダム防湿をすると、50%近くに湿度を抑える事ができるので、接着力を増す事ができます。

セラミックをつける前の状態です。ラバーダム防湿をしています。
一見、キレイに見えると思います。

染め出し液で歯面を染めます。歯磨き指導で衛生士さんに青い液体を歯に塗られ、どこが磨けてないかチェックするやつです。経験のある方もいるかと思います。

染め出し液を洗い流します。するとこのように紫の部分が残ります。
紫の部分は、プラーク(歯磨き指導で言えば磨き残し)が付いているところです。

この様な状態で、詰め物をしたら果たしてくっ付くでしょうか?汚れだらけのところに何かをくっ付けようとしても、付かないのは容易に想像できますよね?

最初の写真では一見キレイに見えますが、これだけ汚れているのです。

紫の部分(プラークの付いている部分)を徹底的に様々な道具や材料を使い落としていきます。するとこのようにきれいになります。
これで、やっと詰め物をする準備ができました。

セラミックの詰め物が入りました。

当院では、たかが一本の歯にセラミックの詰め物をするだけで、これだけ時間と手間をかけています。

ここまですれば、しみる可能性はかなり低くなります。