最後のブログ

こんにちは井関です。

この度、開業することになりまして、11月末を持ちましてウケデンタルオフィスを退職することになりました。

歯科医師になった時から、私の生まれ育った千葉の市川で開業することを目標にここまでやってきました。

10年ほど前から、物件探しはしていたものの、なかなか良い物件は出てこなかったのですが、昨年ようやく希望に叶った物件が出てきまして、開業することになりました。

ウケデンタルオフィスに入職したのは、2011年2月です。

今から12年以上も前ですが、当時のことははっきりと覚えています。

入職直後に、あの東日本大震災が起こり、患者様と一緒に避難した時に、患者様は外国の方だったのですが、「日本に来てこんなに大きな地震初めてだよ」と言われ、「私もこんなの初めてですよ」と言ったことを覚えてます。

その直後、全ての電車が止まってしまい、街が大混乱となり、私は自宅まで徒歩で帰りました。

その次の日から電車がほとんど動いていない状態で、なんとか出勤すると私と院長しか出勤できず、二人でどうしたものかと頭を抱えていました。

あれから干支が一周したんだなとなんとも感慨深いです。

このブログを私が書き始めたのが、2014年5月でそれから今回で92回目になります。

こんなにたくさん書いたのかというのが、正直な感想です。

私のブログなど、見てくれる人なんているのかと思いながらずっと書いてきましたが、中にはブログ見て来院された方もいらっしゃいましたし、すでに来院されてる方が、前回のブログ興味深かったですよ。と言われたりもして、わずかでも見てくれる方がいるのは励みになりました、ありがとうございます。

今まで、たくさんのスタッフ、ドクターと一緒に働けたことは本当に自分の財産であり、また院長や他のドクターはもちろん、スタッフからも自分の知らないことを教わり、様々な経験もさせていただき、歯科医師として、入職した時に比べ一回りも二回りも成長させてもらいました。

改めて院長は元より私と関わったスタッフ全ての人に感謝したいと思います。

そして、毎回毎回の治療が、私にとって勉強であり、課題を与えてくれて私を成長させてくれました。

私の治療を受けていただいた患者様にこの場を借りて感謝を申し上げます。

先ほども言いましたが11月末で退職致しますが、院長よりもう少し手伝ってくれないかと嬉しいお言葉を頂けましたので、来年1月の中旬から、水曜日のみにはなりますが、しばらくは神谷町医院に週一回勤務させていただきます。

最後に、このブログを今まで見ていただいた方、ウケデンタルオフィスに来院していただいた全ての患者様にお礼を申し上げたいと思います。

長い間、本当にありがとうございました。

                                

井関 真良

露木先生退職、並びに表参道医院閉院のおしらせ

こんにちは、井関です。

6月末をもちまして、6年間勤務していた表参道医院の分院長露木先生が退職されました。
仲間が一人いなくなるのは大変寂しいことですが、露木先生は、かねてより歯医者であるお父様と一緒に働いて、
お父様の後を継ぐ決心をしていましたので、露木先生が次のステップに羽ばたくのを応援することにしました。

しかし、それに伴い表参道医院が閉院になりました。
表参道医院に通っていただいた方々、長いことありがとうございました。
まだ治療が残っていたり、メンテナンスに通っている患者様には、大井町医院、池袋医院、神谷町医院への転院をお願い致しました。ご不都合をおかけいたしますが、今後とも宜しくお願いいたします。

送別会は、4医院のスタッフが集まり盛大に行われ、もちきれない量の花束と、院長よりオシャレなメガネがプレゼントされ、露木先生は終始ご満悦の様子。
コロナで忘年会等が中止になり、久々に皆で集まれたのも嬉しかったですね。

表参道で使っていた道具、機材は各医院に移動しまして、中でも一番大きい機材がマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)です。
表参道には2台あったのですが、その両方を神谷町医院に持ってきました。
これにより、とうとう神谷町医院は全てのユニット(椅子)にマイクロスコープが常備されることになりました。
これはなかなか凄いことなんです、日本に歯科医院はたくさんありますが、全てのユニットにマイクロスコープが設備されているところはそう多くありませんので。

そして13年私の相棒として活躍してくれたマイクロスコープは、知り合いの先生に譲ることになりまして、
表参道のマイクロスコープが私の新たなる相棒となりました。
以前のマイクロスコープに比べ、明るく見やすいのです。
そして、写真ではわかりづらいですがカメラが付いてまして、これにより治療中の写真や動画を撮れるようになりましたので、
患者様に自分のお口の中や、歯の中を画面で見てもらえますし、画面見ながら説明もできるようになりました。
今までは、口頭でしか説明しかできなかったことが、実際見ながら説明できると歯ってこんなふうになっているんだ、虫歯がこんなところに出来ているんだと、患者様の理解も深まるのではないかと思っています。

旧マイクロスコープ

新マイクロスコープ

根管治療の様子です

ICR 侵襲性歯頸部外部吸収

こんにちは、井関です。

おそらく多くの一般の人は歯科医院に一度かかるとそこで全ての治療ができると思っているのではないしょうか?

以前は確かにそういうものでした、しかし、歯科の世界も細分化され、色々と専門分野に特化した治療をする先生が多くなりました。

その為、自分では出来ない治療や得意ではない治療において、その分野に精通している先生に治療をお願いすることが良くあります。

例えば、当院では基本的に矯正をやっていないので、提携している矯正医に矯正をお願いしたり、非常に難しそうな親知らずの抜歯は口腔外科の先生にお願いしたりします。

逆に、当院の院長はインプラントが得意な為、多くの先生からインプラントをしてほしいと患者様を紹介していただいたりしています。

先日、矯正の先生から私の元に抜歯をしないで、根管治療で治してほしいという依頼がきました。
その矯正の先生は宇都宮の先生ですが、わざわざ都内の当医院に依頼をしてきたのです。
これは、相当なプッレッシャーです、そして非常に珍しい症例でした。

今回は、その症例についてお話をしたいと思います。

矯正の先生からは、内部吸収をしているので治してほしいと言われてたのですが、レントゲンを撮って良く見てみるとこれは外部吸収でした。

内部吸収というのは、歯の内部が溶けてしまう病気で虫歯とは違います。
虫歯は虫歯菌によって歯が溶かされていくわけですが、内部吸収は歯の中に何らかの理由で破歯細胞という細胞が発生してそいつが歯の中を溶かしてしまう病気です。

外部吸収も同様に虫歯ではなく、破歯細胞が歯の外側から歯を溶かしていき歯の内部に吸収が侵攻する病気です。

上のレントゲンを見ていただくとわかると思いますが、赤矢印の先(歯の外側から)吸収が開始され、歯の内部に吸収が向かい黄色矢印のところまで歯の内部が溶けてしまっているのです。

この病名は、ICR(Invasive Cervical Resorption)「侵襲性歯頸部外部吸収」(しんしゅうせいしけいぶがいぶきゅうしゅう)といいまして、
治療法は吸収している部分を全て除去し、薬液で消毒しなんらかの材料でその部を封鎖します。

今回歯の上部は健全な部分がたくさん残っているので、上から直径3ミリほどの小さな穴を開けそこから、根の内部の吸収部を除去しようと試みました。

すると吸収部にはただ単に歯が溶けているのではなく、肉芽という歯茎の一部が入り込んでしまっているので、穴を開けた瞬間に血が噴き出してきて、血まみれで中を見るのが困難な状態でした。

そこで肉芽を様々な器具や技で除去をし、出血を止め薬剤で消毒しました。
言葉で書くのは簡単ですが、これには非常に時間がかかりとても困難な治療でした。そこにMTAセメントを用い、根の先端の方(赤矢印)と吸収部(黄色矢印)を同時に埋めました。

黄色矢印の左の方を見ていただくとわかると思いますが、外にはみ出しているのがわかるかと思います。

これはMTAセメントを押し込んで、わざとはみ出しています。

この後歯茎を開いて、はみ出したMTAセメントと除去しきれていない外部吸収部を除去して、グラスアイオノマーというセメントにより同部を埋めました(赤矢印)。
これも言葉にして書くと簡単なのですが、これをピッタリ埋めるのが非常に難しかったです。

珍しい症例なので、頻繁に出会うことはないと思います。
この病気は適切な方法を取らなければ治すことができませんし、正直、最も難しい治療の一つでした。

しかし、もしこのブログを読んでいただいた人の中で、自分も同じようなレントゲン像で治しようがないと言われた方がいたら、
ご連絡いただけたら、お力になれるかと思います。

唯一の総義歯(総入れ歯)の患者様

こんにちは、井関です。

ウケデンタルオフィス神谷町本院では、院長がインプラントが得意ということもあり、残念ながら、抜歯にいたった方は、
インプラントになることが多いです。もしくはブリッジになる方がほとんどで、義歯の患者様はほとんどいません。
部分入れ歯の方は数人いらっしゃいますが、総義歯(総入れ歯)つまり歯が一本もない方は一人しかいません。

その一人の方が、昨年数年ぶりにいらっしゃいました。
なんと、御年90歳!近くにお住まいで一人で歩いて来ます。
良く歯が少なくなると、ボケたりアルツハイマーになりやすかったりと言いますが、
(これは科学的に証明されています)この方には一切当てはまりません。
何年も前のことをしっかりと覚えていて、おしゃべりも流暢。
スーパー元気で、ハイカラなおばあさま!
こんな元気な90歳なかなかいませんよ。

少し義歯がゆるくなってきたということと、義歯の歯の部分(人工歯)がすり減ってきて、噛み合わせが低くなっている
ということで、話し合いを致しまして、新たに義歯を作り直すことになりました。

2021年6月のブログにも書きましたが、私はウケデンタルオフィスに来る前はしょっちゅう入れ歯の処置をしていたので、
根管治療も好きですが、義歯の治療も好きなんです。

義歯の治療で難しいのは、下顎の義歯を動かないよう(くっつく)に作ることなんですが、
幸いにもこの患者様は、もともと私が8年前に入れた義歯が調子良くそれほど問題なく使えていました。
今回は下顎の義歯が少しゆるくなってきた程度だったので、下顎はもともとの義歯を少し改造し、
上顎は金属床という義歯を新たに作ることにいたしました。
この金属床というのは、うわあごの部分のみ金属で作ります。
メリットはうわあごの部分を薄く作ることができるので、装着感が良いのと、金属にするので温度を感じることができます。
それと強度が上がります。

写真でみるとこんな感じです。

表側

裏側

 

上下の義歯が入った状態

口元も自然な感じに仕上がりました、本当は上顎の義歯をもう少し前に張り出すことで、上唇の上の部分の僅かなシワも
なくしたかったのですが、90歳という年齢も考えると、全くシワもないというのも変ですし、患者様もこれが良い!って
言っていただけたので、このように仕上げることになりました。
また、この患者様のお孫さんが、実は歯医者さんなのです。(口腔外科医なので義歯はやらないとのこと)
なので、同業者に見られるというプレッシャーの中でやっているようなものでした。
お孫さんにも「おばあちゃん、若くなった!すごい上手な入れ歯だよ!」といっていただけたそうです。
ほんと一安心です。
ご本人に顔出しOKをおいただきましたので、写真を上げさせていただきますが、
年齢を考えるともう少し暗い色の歯の方が普通は合います。
でも、とても元気な方なので、これくらいの歯の色の方が私的には合っていると思いますし、より元気な感じになると思い
あえて少し白い歯を選択しました。良かったのではないかなと思っています。

義歯を入れてから、3ヶ月後経過観察で来院していただきました。
もう何でも食べられる!
とんかつも食べられるし、りんごも食べられる、パンも噛み切れる!
と仰っていただき、こちらも大変嬉しかったです。
総義歯の方で、なかなか前歯でりんごをかじるのは難しいものなのです。それなのにりんごまで噛めるとは。
パンも、咬めても噛み切れるというのはなかなか難しいのです、本当にビックリです!

被せ物もそうですが、入れ歯も使っていれば必ず僅かなズレが出てくるので、
チェックして噛み合わせを少しずつ調整をする必要があります。

ですので、噛み合わせのチェックをしたところ、僅かに一箇所調整したい部位がありました。
調整しようとしたところ、患者様からのまさかの一言!

「触らないでちょうだい!」

え?

「私の入れ歯史上、今が最高に噛めるの!触ったら咬めなくなるかもしれないから、触らないでちょうだい!」

こちらもプロですから、絶対にそんなことにはならないように調整できるわけですが、患者様の気持ちを尊重しました。
それ以上に、そこまで今回の義歯を気に入っていただけたことに心底嬉しく思います。
こういう仕事ができた時、歯科医師になってよかったなって思う瞬間ですね。

昨日、チェックでまた来院していただき、少しだけ調整させていただきました。
91歳になっても変わらずお元気で、入れ歯も調子が良いそうです。
記念に写真を撮らさせていただきました。

1年ぶりの学会

こんにちは、井関です。

コロナもだいぶ落ち着き講習会や学会もオンラインだったのが、会場で直接開催されるようになりました。
私が所属している日本顕微鏡歯科学会が福島の郡山で開催されるということで、久々に地方出張に行ってきました。

郡山駅です、こちらは西口で栄えてますが、東口はびっくりするくらい人が歩いておらずこんなにも同じ駅なのに栄え方が違うのかと

ビックリ!そして、駅のお土産屋さんや食事処にも「歓迎 日本顕微鏡歯科学会」と貼られ、更にビックリ!

郡山の人には悪いですが、そんなにイベントがないんでしょうか?

この学会に来ているのは全国のマイクロスコープ使いの猛者達です。

全ての治療でマイクロスコープを使ってる先生もいたり、こんな細かい治療をできるのかという症例を出す先生もいたりで、

私にとっては、大変勉強になりますし、これは真似しようと思ったりで明日からの糧になり大変楽しいし、有意義な時間でした。

やはり、生で見て聞くのはいいですね、モチベーションが上がります!

懇親会会場は少し前には考えられないくらい超密でした(笑)

新たに知り合いになれた先生もいたり、有名先生と直接お話ができたりして

大変有意義な時間を過ごさせていただきました。

昨年も一緒だった同級生の関口先生と一枚

顕微鏡を扱っている歯科医師、根管治療を得意としている先生で知らない人はいないと言えるレジェンド三橋先生と一緒に

写真撮っていただきました。

わざわざ郡山まで行くのには最初躊躇してましたが、行って良かったです。

明日からもっと上手くなろう!頑張ろう!という気持ちが沸々と湧き上がってきました。

詰め物をした後に歯がしみるのはなぜ?

こんにちは、ウケデンタルオフィス 歯科医師の井関です。

詰め物をした後に冷たいものがしみた経験はありませんか?あれは何で起こるのでしょう?

いくつか原因が考えられます。


①そもそも虫歯が取りきれていない

②虫歯が大きくて、もとから神経にダメージがあった、もしくはもう神経を抜かないといけない状態だった

③歯を削ったあと、およそ1ヶ月くらいは神経が充血していて、いわゆる知覚過敏になっている

④仮の詰め物は熱の伝導性が良くないのですが、金属の詰め物は熱の伝導性が良いのでしみる

⑤実はちゃんと詰め物がくっついていない


①そもそも虫歯が取りきれていない

まず①は論外と言えると思いますが、実は虫歯を取りきれていなくてしみることはあまりないのです。

えー、虫歯が残っていたら痛いでしょ?と思うかもしれませんが、よほど神経に近くない限り虫歯は痛くないのです。

ただし、数年後にまた痛みが出たり、虫歯が再発というか大きくなっていたり、詰め物が取れたりします。

②虫歯が大きくて、もとから神経にダメージがあった、もしくはもう神経を抜かないといけない状態だった

③歯を削ったあと、およそ1ヶ月くらいは神経が充血していて、いわゆる知覚過敏になっている

②と③は非常にありうることです。

②の状態だと、もう神経の処置をしないといけないわけです。

③は歯を削るという行為が行われれば、神経の充血というのは必ず起こります。

しかし充血状態なら、1ヶ月の間にしみるのはおさまります。

問題なのは、②の状態なのか③の状態なのかは、様子を見なければわからないということなのです。

要は1ヶ月待っていただかないといけないわけです。これが、歯科医師にとっても、患者様にとっても辛いのです。待てば自然に治るかもしれないし、早くに神経の処置をした方が良いのかもしれないし、非常に判断が難しいのです。

なので、良くもう少し様子を見ましょうとなるわけです。

④仮の詰め物は熱の伝導性が良くないのですが、金属の詰め物は熱の伝導性が良いのでしみる

④は金属の詰め物、いわゆる銀歯の時は結構な確率で起きます。
特に詰め物を入れた当日は冷たいものがしみることは多いです。

大抵は数日から1週間程度で慣れるというかおさまります。しかし、②や③の状態なのかもしれないので、ここも判断が難しいところです。

⑤実はちゃんと詰め物がくっついていない

⑤の詰め物がくっついていないってあり得ないでしょ?
だったら外れてくるし、と思われるでしょう。

実は、しみる原因の一番がこれです。

え?と思うかもしれませんが、詰め物の一部が付いていれば結構外れないものです。

そして、付いてない部分というのは目に見えない顕微鏡レベルで言えば隙間が空いてます

そこに細菌が入ってくるとしみるのです。

詰め物を付ける時、セメントやボンディングと言われる接着剤を使ったり、さらに良く付くように歯の表面や詰め物の表面に薬剤を塗り接着力を増したりと工夫をします。

そして、根管治療でも必ず使うラバーダム防湿をします。

ラバーダム防湿をなぜするのかというと、歯に何かを付けるという時に、湿度というのは非常に邪魔な存在なのです。

口の中の湿度って90%を超えるのです。

簡単に言えば、サウナの中で絆創膏を貼るようなもので、くっつきづらいのが容易に想像できますよね。

ラバーダム防湿をすると、50%近くに湿度を抑える事ができるので、接着力を増す事ができます。

セラミックをつける前の状態です。ラバーダム防湿をしています。
一見、キレイに見えると思います。

染め出し液で歯面を染めます。歯磨き指導で衛生士さんに青い液体を歯に塗られ、どこが磨けてないかチェックするやつです。経験のある方もいるかと思います。

染め出し液を洗い流します。するとこのように紫の部分が残ります。
紫の部分は、プラーク(歯磨き指導で言えば磨き残し)が付いているところです。

この様な状態で、詰め物をしたら果たしてくっ付くでしょうか?汚れだらけのところに何かをくっ付けようとしても、付かないのは容易に想像できますよね?

最初の写真では一見キレイに見えますが、これだけ汚れているのです。

紫の部分(プラークの付いている部分)を徹底的に様々な道具や材料を使い落としていきます。するとこのようにきれいになります。
これで、やっと詰め物をする準備ができました。

セラミックの詰め物が入りました。

当院では、たかが一本の歯にセラミックの詰め物をするだけで、これだけ時間と手間をかけています。

ここまですれば、しみる可能性はかなり低くなります。

3年ぶりの慰安旅行

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いいたします。

毎年院長には慰安旅行に連れて行っていただいてるのですが、コロナで2年間行けませんでした。
やっと昨年11月に3年ぶりに石垣島に行く事ができましたので、普段仕事中の時とは違う皆んなの姿をお楽しみください。

石垣島に着いてまず向かったのは玉取崎展望台、残念ながらちょっと天気は悪かったです。
そして石垣で一番ソーキそばがおいしいと言われてる「明石食堂」で昼ごはん。
野菜たっぷりで食べ応え抜群、ソーキもトロトロで美味しかったです。


そして、私が一番石垣で好きな場所、川平湾に向かいます。
初めてのコたちにはもっと晴れてる日に見て欲しかったですが、相変わらず美しい!



泊まったホテルはフサキビーチリゾート。
私は石垣島に何回も来てるのですが、ここは泊まった事なかったので、来れて嬉しかったです。
フロントを通ると、まるで海外のホテルの様にズドーンと海が広がり、バーカウンターと見たことのないオシャレなプールが広がります。
2年前に退職し、沖縄本島で開業した新城先生も遊びに来ました。


今回は体験ダイビングに行きました。
前日まで雨が続いてたのと、台風が通ったばかりという事で、水が濁ってて残念でしたが、初めてのコたちは、それでも凄いキレイと喜んでました。
何人かは、初めてだったのですが、みんな上手で、ダイビングショップの人が体験なのに全員がこんなに上手いなんて初めてだって驚いてました。
ニモ(クマノミ)や亀にも会えたし、チンアナゴは私は初めて見る事ができたので嬉しかったですね。





ダイビングに行かなかった組はシーサー作り体験に行きました。

夕飯は、やはり石垣牛!
みんな凄い勢いで食べる食べる、若いコは凄い!


最後にホテル前で集合写真、院長ありがとうございました!

CRACK(クラック)続き

こんにちは、井関です。

今回は前回に続き、歯の破折(ひび)についてお話ししたいと思います。
前回を読んでないとわからないこともありますので、是非前回を読んでからお読み下さい。

私たちは通常、破折(ひび)CRACK(クラック)と呼びます。

前回のブログでの症例はまだ軽症なクラックの話をしましたが、もう少しクラックが進むとどうなるかという話をしていきます。

いつも、私たち歯科医師はクラックが判明すると凄いがっかりするのです。
なぜならクラックが入った歯はたいていの場合、抜歯する以外ないからです。
7、8年前私はこのクラックの入った歯でもなんとか残そうといろんな方法を用い頑張ったのですが、クラックの入った奥歯は全て4年以内に抜歯になりました。 論文でも奥歯の治療後の5年生存率は0%となってます。
前歯は1歯のみ7年持っている方もいらっしゃいますが、ある特殊な条件下で持っているので例外中の例外と言えるでしょう。

進行したクラックは大きく分けると2つに分かれます。
1つは歯の並びに直角に走るクラック(赤線)
もう1つは歯の並びに平行に走るクラック(黒線)

歯の並びに直角に走るクラック(赤線)の特徴は、ほとんどが神経を抜いてる歯に入ります。
しょっちゅう見かけます。
このクラックは歯冠(歯の頭)から入る場合と歯の根っこの先から入る場合があります。
だいたい半々の割り合いで起こります。
以前にも書いてると思いますが、神経を抜くと歯の内部を削るので、必然的に歯が薄くなります。
なのでクラックが入って歯が割れやすくなります。
臼歯部では神経抜いてない歯と比べ7.4倍歯が割れやすくなります。
何度も書いてますが、神経はなるべく残した方が良いのです。

歯の並びに平行に走るクラック(黒線)の特徴は、ほとんどが神経を抜いてない歯に入ります。
そして必ず歯冠から入ります。
でもこのクラックはあまり見かけません。かなりレアです。
なんの治療もしてなく虫歯も歯周病にもなってない歯にクラックが入ることもあります。
下の写真がまさに真横にクラックが入り真っ二つに割れてしまった歯です。
小さな虫歯を白い詰め物で治してますが、わずかに歯を削った程度です。
こうなってしまうと治療法はありません、残念ながら抜歯する以外ないのです。


では、なぜたいして治療もしていない歯に、歯の並びに平行に走るクラックが起きてしまうのでしょうか?
原因は力です。
噛む力がものすごく強く、夜間に極度の歯ぎしりやくいしばりをしている人に多く見られます。
歯ぎしりや食いしばりを根本的に治す方法は今のところあまりありません。

前回にもお話しした通り、歯科医院で歯ぎしりや食いしばりがひどいと言われた方や、ご自身で自覚のある方は、ナイトガード(夜間に使用するマウスピース)を使用することをお勧めします。

マウスピースも大きく分けると2種類ありまして、柔らかい素材のものと硬い素材のものがあります。
柔らかい素材のものは、歯ぎしりや食いしばりには向いていません。
逆に睡眠中にもっと噛む力を発揮してしまう場合もあります。
柔らかい素材のものは、スポーツ用のものと思ってください。ラグビーやボクシングでしてるあれです。
市販でお湯で温めて歯に合わせるマウスピースがありますが、あれも柔らかいものなので、睡眠中に使用するのはやめた方が良いです。

硬い素材のものは、ナイトガード向きです。
ただし、きちんと歯科医師が調整をしてないとこれも良い結果が得られません。
その人、その人にあった噛み合わせを調整しないといけません。
なので、完全にオーダーメイドなわけです。市販のものとは全く違うものです。
当医院でも多くの方にナイトガードを使用していただいておりますが、今まで使ってたものとは全く違う。
下の顎がスムースに動く。
朝起きた時に肩や首の凝りが無くなった。
ナイトガード無しで寝るなんて心配でできない。
など多くの方に好評をいただいております。

歯ぎしりや食いしばりが気になる方、家族に勧められた方、一度使用してみたい方、是非、当院の歯科医師、衛生士にご相談ください。

Crack(ひび)

こんにちは、井関です。

今回は歯の破折(ひび)についてお話ししたいと思います。

私たちは通常、破折(ひび)CRACK(クラック)と呼びます。

クラックは歯の内部から始まるので、最初は私たち歯科医師が見ても全くわかりません。
クラックが少し進行すると下の写真の様に見えてきます。
よーく見て下さい、ほそーい線が上下に走っているのがわかるかと思います。
「ヘアーラインクラック」と呼ばれ、まさに髪の毛1本分くらいの線がクラックなのです。
これは、年配の方に多く見られます。長い事噛む力に耐えてきた証ですね。
また、噛む力が強かったり歯ぎしりをしている人の奥歯に見られる事が多いです。

しかし、これくらいは、経年的加齢的なものなので、治療する必要はありませんし、症状もまだ何もありません。
するとなれば、ナイトガード(夜間に使用するマウスピース)をしてもらう位です。

その後クラックが進むと、このクラックに沿って細菌が歯の中に侵入してくるので良く隣との歯の間が虫歯になります。
そもそも歯と歯の間は歯磨きがしづらく、虫歯になりやすいわけですが、クラックが入った歯の場合、歯磨きをしっかりとしてても虫歯になってしまうのです。

下の写真の歯は、詰め物が取れ中が虫歯になっていたので、虫歯を取り切った状態です。
見事に真横にクラック(線)が走っている事がわかると思います。
幸いこの歯は、しみる症状はなかったので詰め物をやり直すだけですみました。

しかし、今後このクラックが進んでしまうともしかすると更に治療が必要になるかもしれません。
その可能性については、患者様にお話しはしましたが、どれくらい先に更なる治療が必要かは残念ながら誰にもわかりません。



更にクラックが進むと、神経を抜いてない歯の場合は、圧倒的にしみるという症状を呈する事が多いです。
これが非常に厄介で、クラックがはっきりと見えるようになるまでは知覚過敏と判別がつきません。
(ヘアーラインクラック位ではしみません)
知覚過敏の薬を塗っても一向に治らないのです。
かと言って、何か他に治療法があるのかというと全くないために、様子を見てもらう以外ないのです。

このクラックが進んで、視認できるようになって初めてしみてた原因がクラックだったのかとわかります。
クラックが進むと歯髄に到達し、急激に痛みが出てきたりします。
クラックは細菌の通り道になるので、細菌が歯髄に入ってきてしまうので細菌感染が起こり痛みが出てしまうのです。

この歯がまさにその状態だったのです。
数ヶ月もの間、しみるしみると言われて毎回知覚過敏の薬を塗っていたのですが、全く症状は変わらず何が原因なのかさっぱりわからずそのうち治るんじゃないのかな?と思っていました。
するとある日、歯をよーく見ていたらクラックが入っていたのです。
矢印の先をよく見てください。歯にわずかに線(クラック)が入ってるのがわかるかと思います。


金属を外し歯を削った状態です。
よく見てください、歯の内部にまでクラックが入ってるのがわかるかと思います。


結局、このクラックを全て削っていくと、歯髄(神経)まで到達していて、神経が細菌感染(それによってしみてた)を起こしてしまってるので神経を取らないといけません。
よって根管治療をしました。
当然のことですが、神経を取ってしまえば、知覚がなくなるのでしみなくなるわけですが、患者様は、今まであんなしみて辛かったのに一瞬でしみなくなったと言い、ビックリされてる事が多いです。
その後この患者様は、9年に渡って何の症状もなく過ごしています。

このようにたった1本のクラックでこんなに治療をしないといけなくなります。
しかも、クラックは予想が出来ないので、患者様にもいつまで持ちますよと言えないのが現状です。
唯一、クラックの予防は、先ほど申し上げた通りナイトガード(夜間のマウスピース)を使用する事です。
あとは、極端に硬いものを好んで食べないとか、ビールの栓を歯で開けてしまうとかはやらないで下さい。
ある年配の患者様に聞いたら、笑いながら、確かに昔は歯で栓開けてたなー、ハッハッハッと笑いながら話してましたが、本当に絶対やらない方がいいです。

今回の話は、クラックが入ったけれども、これでも軽症な方なのです。
次回、クラックがもっと進んだらどうなるかの話をしたいと思います。

一年後CT撮ってみたら凄い治ってた!

こんにちは、井関です。

根管治療の世界において3種の神器と言われるものがあります。
マイクロスコープ、ニッケルチタンファイル、そしてCTです。

私の大好きなMTAセメントはここに入らないのが残念でしょうがないです。

ニッケルチタンファイルは使わないことも結構あるので、私の大好きなMTAセメントをここに入れてほしいと私は思ってます。

今回は、この中のCTの症例についてお話しさせていただきます。

患者様は、2日前に右上の歯に激痛があり来院されました。

まずはレントゲン検査を行いました。
以前にも言ったことがあるかもしれませんが、上下共に奥歯は周囲の骨が厚いのでレントゲンではなかなか細かい情報は得られません。
なんとなく矢印の先がモヤモヤして黒っぽい感じはありますが、はっきりとこれは悪い!とは言いづらいレントゲン像です。


そこでCTを撮ってみたところ、上顎右側第一大臼歯は根が3本あるのですが、その全ての根の先に黒い影(根尖病変)が見られました。(赤矢印)
間違いなくここが原因で痛いことがわかりました。


そして、歯の上方部に上顎洞という空間(副鼻腔)が存在するのですが、そこがスリガラス様にグレーになっているのがわかるかと思います。(黄矢印)
これは何かというと、上顎洞まで炎症が波及してることを示します。
上顎洞の上の方に黒い部分(白矢印)がありますが、通常はこのようにCTでは真っ黒に写ります。
CTで黒いということは空気がその部分にあるということです。

治療を始めたところ、一つの根管から大量の膿がダクダク出てきました。
これは、確かに相当痛みがあっただろうなと想像できました。
1回目に根管内を徹底的にきれいにし、膿が止まるまで根管内を洗浄し続けました。
2回目の治療は、2週間後でした。
その時には、痛みは収まってはいましたが、噛むと違和感が残っているとのことでした。
こういう時、最終的な薬(MTAセメント)を詰めますよと言うと、大体患者様は不安になるのですが、噛んだ時の違和感や、歯を叩いた時の響きはMTAセメントを詰めないと消えないこともあるので、2回目に根管充填をMTAセメントで行い終了です。

その後土台(ファイバーポスト)を立てて、型をとりセラミッククラウンを装着して終わりとなりました。
5回の治療で全て終了しました。

その後、経過観察をしていました。
度々レントゲンを取りましたが、やはり奥歯のレントゲンは写りが悪く、治っているのかどうかが判断つきませんでした。

治療前
治療後8ヶ月

どうでしょう?
違いがわかりますか?なんとなくモヤモヤした黒い部分が白っぽくなっているように見えますが、毎日レントゲン見ている人間でもこれは治った!と言い切れません。

じゃあ、CTを撮れば良いじゃないか?と思うかもしれませんが、CTは放射線の被曝量が多い為、頻繁に撮ってはいけないのです。
国際的にも、どうしてもCTを取らないと治療に差し支えるなどの理由がない限り、前回CTを撮ってから、少なくとも1年は空けるべきと言われています。
なので、1年を待って患者様も治っているかどうか確認したいと言われたので、先日CT撮影を行いました。

すると、根の先の黒い影は全て消え、スリガラス様になっていた上顎洞もきれいに治り、真っ黒になったのがわかるかと思います。
正直、1年でここまで完全に治るとは思いませんでした。


患者様も症状はないけど、ちゃんと治ってるか知りたいと言っていたので、きれいに治ってて良かったです。
実は患者様はお医者様でCTを見慣れている方なので、このCTを見た瞬間に、
「すごい!副鼻腔がきれいになってる!」
と驚いていました。 専門用語で言われたのは嬉しかったですね。

治療前と、1年後です。
明らかに違うことがわかるかと思います。

頻繁にCTを取ることは良くないことですが、やはりCTじゃないとわからないこともたくさんあるので、私の治療には欠かすことのできないツールですね。

今回は、1年待って撮ることが出来ましたが、こんなに良い結果が得られて良かったです。

治療前

治療後(1年後)


治療前

治療後(1年後)