電気的根管長測定器=EMR

こんにちは、井関です。 今回は普段使っている機材の話をしたいと思います。
現在、根管治療において三種の神器と言われている物があります。
それは、 マイクロスコープ・CT・ニッケルチタンファイル  です。
この三種の神器の出現により、根管治療は飛躍的に成功率が高まりました。

しかし、三種の神器が無い頃にも、根管治療を上手にやっていらした先生もたくさんいます。
根管治療は、たくさんの器具機材を使用しますが、そんな先生達でも、昔から使っていた機材が 電気的根管長測定器と言われている物です。
よくEMR(=Electric Measuring of Root canal length)とも言います。
勿論、現在でもほとんどの先生が根管治療において使用しています。
(この後は全てEMRと表記させていただきます。)

これがEMRです。
根管治療を受けたことがある方なら分かると思いますが、治療中に口角に金属の金具を かけられ、その後「ピッピッピッピ」とか「ピーーーー」と電子音が鳴っているのを聞いたことが あるかと思います。
それがこれです。

あれは何かというと、このEMRを使って根の長さを測っているのです。
根管治療において根の先端まできちんと根管充填材を詰めることが大切です。
それにより予後がかなり変わってきます。
その為に根の長さをきちんと測定することは非常に重要なステップなのです。

歴史は古く1955年に東京医科歯科大学の鈴木賢策、砂田今男先生らが当時術者の勘やレントゲンだけで測定されていた歯の長さを誰もがいつでも同じように測定する事を目的とするために、歯の電気抵抗を測定して歯の長さを調べる方法の研究を開始し、1969年に第一号の販売をしました。
1978年には電気的根管長測定検査が保険適用され、製品としては1980年代に単一周波数測定器であるエンドドンティックメーターSIIが発売され、根管長測定器が普及を開始しました。
しかし、エンドドンティックメーターは根管内が乾燥状態でなければ精度よく測定できないという欠点があり、その後その欠点を補った二種類の異なる周波数を用いた測定器が販売されました。
その代表格がルートZXという商品で上記の写真にあるものです。
シェアは米国で69.2%、国内で45.2%で国内国外ともにシェアトップなのです。

1955年という戦後たった10年でこんな機材を開発し、それがマイナーチェンジを繰り返しつつ、現在でもほとんどの臨床家に世界的に用いられている機材であることが本当に凄いと思います。
自分が今、EMRが手元から無くなったらどうやって治療をするかと考えてしまいます。

EMRを日本人が開発したことを誇りに思います。
大先輩の先生方、ありがとうございます。
このような大先輩達に負けぬよう頑張りたいものです。