破折歯への対応その2

こんにちは、井関です。

今回も前回に引き続き破折歯牙を治したケースの話です。

前回も言いましたが、破折(割れてしまった)歯は基本的に抜歯です。
それを心にとめて今回の話も読んでください。

患者様は、他医院にて歯が割れてるから、抜いてインプラントにしないといけないと言われたのですが、どうしても抜歯をしたくないということで来院されました。
お口の中を見ると裸眼でもはっきりと割れていることがわかりました。
ここまではっきりと歯が割れていると、さすがに保存するのは不可能に思いましたので、抜歯しインプラント治療を勧めました。
そして、治療してもすぐに悪くなって抜歯になる可能性がかなり高いことを説明しましたが、それでも患者様は少しでも可能性が あるなら抜かないでほしいと言われました。
ということで治療に踏み切りました。

治療法は、抜歯し割れた歯をスーパーボンドという歯科用接着剤でくっつけて抜いた所に戻す。と書けば簡単な事なのですが、この歯が元通り抜いたところにくっつきお口の中できちんと機能するかが問題なのです。

お口の中で見るとまるで元通りになったように見えます。
5か月後痛みもなく普通に咬めるとのことです。

それでは術後どうなったかをレントゲンで追ってみましょう。
矢印の先をよーく見ていただくと、術前には歯の周りの黒い部分(骨が溶けている所)が、歯の根の先を取り囲んでいるのですが、再植5か月後には黒い部分が小さくなっている、つまり骨が復活してきているのがわかります。
でも、よくはわからないですよね?

やはりより分かりやすいのはCTです。
白矢印の先を見ていただくとわかると思いますが、術前は黒い影(骨が溶けている所)が大きいですが、再植5か月後はかなり黒い部分が小さくなり骨が復活していることがわかると思います。
つまり骨が歯にくっついて来たということです。
赤矢印の先が割れていたところです。隙間が空いていることがわかると思います。
再植5か月後、この隙間は接着剤で埋まっています。

現在、治療後5か月何事もなく経過しておりますが、まだたった5か月なので今後どうなるかまだわかりません。
注意深く経過を観察していきたいと思っております。
今回の症例は、かなり良い条件が重なりに重なってるため、うまくいっているのだと思います。
奇跡的にうまくいってるのかもしれません。

しかし、骨の状態や歯茎の状態は想像しているより良くなっています。
あらためて、人間の身体は凄いなと実感しました。