「特殊な症例」

こんにちは、井関です。

 

今回はちょっと珍しい症例をお見せ致します。

歯の根の中には神経や血管が通っている根管と言われる管があります。

 

その根管の数というのは、歯ごとに大体の数が決まっていますが、

中にはイレギュラーな根管もあります。

 

例えばこういうものがあります。

 

(治療前)

 

 

(治療後)

 

左のレントゲンでは1根管しか治療がなされていません。

マイクロスコープで根管内を覗いてみると、根管が途中で二つに

分かれていることが、確認されました。

右のレントゲンは根管充填し終えた状態です。

はっきりと二つに分かれているのが分かります。

 

この歯は、下顎第一小臼歯です。

下顎第一小臼歯は75%は1根管、25%は2根管と言われてます。

非常に珍しい症例ではありませんが、片方の根管を見落とされることが多いです。

 

次の症例は非常に珍しい症例です。

 

上顎第一小臼歯ですが、

たいていは、2根管なのですが、1根管の事もあります。

しかし、この症例はなんと!3根管あったのです。

3根管を有する確率はわずか1%と言われています。

この患者様は、歯の違和感と痛みを感じ、数件の歯科医院を訪れたのですが、

どこでも問題ないと言われていたようです。

しかし、マイクロスコープで根管内を覗いてみると、

3根管目を発見しました。

 

 

(治療前)

 

 

(治療後)

 

左のレントゲンでは問題なく根管充填がされているように見えます。

しかし、右のレントゲンを見てください。

矢印の先にもう1根管あることが分かります。

ここが違和感と痛みの原因でした。

マイクロスコープで覗いて見なければ、おそらく発見できなかったと思います。

 

続いての症例です。

これもまた非常に珍しい症例です。

 

下顎第一大臼歯ですが、近心根(レントゲンではこの歯の右側の根)はたいてい2根管

まれに1根管です。

しかし、この根は3根管を有していました。

 

 

 

左のレントゲンでは2根管しか治療されてないのがわかると思います。

しかし、右のレントゲンでは明らかに3根管あることが分かります。

この根の3根管は0.9%と言われています。非常に珍しいです。

 

すべての根管が治療されてなければ治らないとは限りませんが、非常にレアな症例では、

その見落とされた根管を処置しなければ治らないこともあります。

 

全てはマイクロスコープで歯の中を覗いたからわかることです。

裸眼では、まず見つけることは不可能に近いです。

 

いやー、マイクロスコープってすごいですね。

札幌旅行

こんにちは、井関です。

 

先日、院長先生に院内旅行で札幌に連れて行ってもらいました。

やはり、北海道は東京とは違い湿度が低いので、雨が多少降ってもジメジメせずさらっとした

快適な気候でいいですね。

 

行く前は、旅行中全て雨の予報でしたが、「もいわ山」に登った時は、きれいに晴れました。

ちょっと風が強かったので、スタッフの女の子たちの表情があれですが、

どうですか?この眺め!札幌の街が一望できる大パノラマを満喫!

 

 

そして、やはり北海道と言えば「食」

院長先生は、北海道出身なので、札幌のお店をよく知っていました。

まずは、お寿司。やはり鮮度が違います、東京では見られない食材もあったりしました。

一品ごとに、みんな「おいしーい」「なにこの美味しさ」「口の中でとけるー」を連呼。

おなか一杯でもう無理!と言いながら、誰かが頼むと「私も」「こっちにもお願いします」

スタッフの女の子の食べっぷりに院長先生はかなりびっくりしてましたね(笑)

また札幌発祥である「スープカレー」

私初めてだったのですが、かなり美味しいです。ルーも美味しいんですが、中にごろごろ

入っている野菜がほんと甘くて美味しい。

その他、ラーメンも食べましたし、飲食三昧の楽しい旅行でした。

院長先生、ありがとうございました。

 

 

根の中で折れてしまった器具を除去する「破折器具除去」について

こんにちは、井関です。

 

今回は根の中で折れてしまった器具を除去する「破折器具除去」について お話します。

 

破折器具は、論文によれば80~90%はそのままにしておいても問題が無いと あります。 しかし、やはり中には破折した器具を除去しないと治らない場合があります。

少し前までは、根の中に破折した器具があるとあきらめるしかなかったのですが、 現在はマイクロスコープという素晴らしい道具があります。 マイクロスコープを用いればほとんどの破折器具は除去が可能です。

「破折器具」はそんなに頻繁に遭遇するわけではないのですが、 先週からの1週間でなんとこのような症例に5つも遭遇しました。 ビックリです!!

そのうちの一つがこちらです。

 

 

破折器具除去前

 

 

破折器具除去後

 

 

無事、1回の治療で破折器具を除去できました。

患者様も、治療前はずーっと疼く感じがあったそうですが、 破折器具を除去して数日後には疼く感じは無くなりました。 歯科医師として、凄くうれしい瞬間です。

 

マイクロスコープってほんとに凄いですね。

 

ウォーキングブリーチ法

こんにちは、井関です。

今回は、「ウォーキングブリーチ法」という歯の漂白についてお話ししたいと思います。

よく世間でいう漂白やホワイトニングは、歯の表面に薬剤を塗り光を当てて白くしたり、 トレーと言われるマウスピースの中に薬剤を入れて一日数時間歯にはめて白くしたりします。

これらは薬剤によって外側から白くさせる方法ですが、今回お話しするのは、歯の中から白くするという方法です。

ウォーキングブリーチ法の適用症は、

「神経を抜いている歯」

に限定されます。

神経を抜いている歯は、だんだん黒ずんできたり、色が濃くなってきますが、 こういった歯の中に薬剤を入れて漂白をします。

“歩いている間に歯が白くなっていく” ということでウォーキングブリーチという名がつけられました。

ウォーキングブリーチ法の歴史は古く、1963年から行われています。

術式としては、図に示すように、歯の舌側(内側)から穴をあけ、そこにホワイトニング剤を入れ、セメントもしくは樹脂でふたをします。

治療時間は30分程です。そして、1週間~2週間後にホワイトニング剤を交換します。

これをだいたい3回ほど繰り返し、舌側(内側)から樹脂を詰めて終了です。

歯をほとんど削ることはないですし、痛みも感じることはありません。 もちろん麻酔も必要ありません。

ただし前提として、根管治療がしっかりと出来ていることが重要となります。

症状によっては、ウォーキングブリーチ法によって効果が出ない場合もあります。 また、治療後若干の白さの後戻りはあります。

いかがでしょうか?

かなり白くなっていることが分かると思います。

治療費は、2万円程です。(症状によって若干治療費は変わります) 詳しくは、担当医にご相談ください。

フェネストレーション

こんにちは、井関です。

根の治療はきちんとやれば100%ではないですが、結構な確率で治ると思います。しかし残念ながら根の治療だけではまず100%治らないという症例があります。

それが「フェネストレーション」というものです。

これは、何かというと、本来、歯というのは、歯茎より下の根の部分は骨の中に埋まっていますが、たまに根の先端が骨の中に入ってない場合があります。

要は、根の先端が骨から飛び出てるということです。

それが何が問題かというと、神経を抜いてない歯であればほとんど問題無いことが多いのですが、一度神経を抜くとほぼ治らない状態になるのです。 根の先端が骨から出てるって、そんなことあるの?という声が聞こえてきそうですが、

上顎犬歯では、29,1%、

上顎第一小臼歯では、13,5%

というデータがあります。

割と高い数値だと思いませんか?

先ほども言いましたように、フェネストレーションは残念ながら根の治療だけでは100%に近く治らないのです。しかも、レントゲンではフェネストレーションはほぼわかりません。また、根の病気を判断する根の先端に出来たりする黒い影も見ることが出来ません。

そして、何回(何件の歯科医院で)も治療を受けているのに一向に症状が改善しないというやっかいなものなのです。結論から言うと、フェネストレーションは根の治療を何回やっても治りません。

前回と同様に「歯根端切除術」をしないとまず治りません。歯根端切除術をして骨から出ている根の先端を取ってしまえば治ります。

では症状を見てみましょう

白丸で囲んでる付近に症状があり、ひどい時には目の付近まで腫れ上がってる感じがしたそうですが、口腔内には目立った症状はありません。

ちなみに今まで、この歯で3回も治療をしていました。しかし、症状は一向に改善していませんでした。


白丸で囲んだ部分が原因であるにも関わらず、レントゲンでは異常をきたす所見はありません。


CTで見たときも悪い黒い影は見当たりません。黄色の矢印は骨です。しかし、赤の矢印の部分の根の先端は骨から少し出てるような感じがします。

これだけでは、確定的な診断は出来ませんが、「フェネストレーション」の疑いはかなり高いです。

治療前

まずは以前に詰めてある根管充填剤を全て除去し徹底的に根管内をきれいにしMTAセメントで埋めなおします。


歯根端切除術後です。

根の先端が短くなっているのが分かると思います。

歯茎を開いた状態です。

わずか(およそ3ミリ)ですが、骨から根の先端が出ています。たったこれだけが骨の中に納まっていないだけで治らないのです。

根の先端を3ミリほど切った状態です。この後しばらくして症状は全くなくなりました。


フェネストレーションは何回治療しても症状が一向に改善されず、
顔の上半分くらい(目の下くらいまで)がボワーっと晴れてるような感じが続いたりします。

確定診断は歯茎を開けてみないと出来ませんが、CTがあれば今回の患者様のように早々に原因を特定できます。

いやー、CTってほんとにすごいですね。

歯根端切除術

皆さん、こんにちは井関です。

今回は久しぶりに精密根管治療についてお話ししたいと思います。

当院では、根管治療でお困りになった患者様がたくさんいらっしゃいます。 前医で、「もう抜歯しかない」「これ以上の根管治療は出来ない」等、 言われていらっしゃる方がほとんどです。

しかし、ほとんどのケースにおいて、きちんと根管治療を行えば抜歯したり、 外科的なことをしなくても治ります。

そもそも根の先の黒い影(膿、肉芽、嚢胞)というものは、根の中にいる細菌が原因なのです。 根の先の黒い影は、根の中の細菌が悪さをした結果として現れてるだけで、根の先に原因が あるわけではないのです。 なので、根の中を徹底的にきれいにして、根の中の細菌を除去してしまえば、根の先の 黒い影は身体が勝手に治してくれるのです。

しかし、年に数ケース、どんなに根の中をきれいにして細菌を除去しても治らないことが あります。

何故でしょう?

それは、根の中にいた細菌が、根の先から出て根の外側に張り付き自分らの繁殖場所を 作ってしまうからなのです。(それだけが原因ではありませんが、それを話すと長くなって しまうので、またの機会で)

こうなると原因は、根の中だけではなく根の外側にもなってしまうのです。

当然、根の中をいくら治療しても治らないので、根の外側の原因になっている細菌を 取り除かなければなりません。

どういうかというと、外科的に根の先を切除するのです。

これを歯根端切除術と言います。

最初のレントゲンで、抜歯しかないという歯科医もいるかもしれません。
また、最初から(根管治療をせずに)歯根端切除術をすると言う歯科医もいると思います。
しかし、根の中と根の外に原因があるので、両方を治療しないとこのケースでは治らないのです。
きちんとした手順を踏んで、マイクロスコープを使用して、MTAセメントを用いることでこの様な良い結果を得られました。
いやー、マイクロスコープとMTAセメントってほんとに凄いですね。

ハブラシの起源

こんにちは、井関です。

先日、学生時代のバイト友達にこんなことを言われました。

「ハブラシっていつからあるの?人はいつから歯って磨いてるの?」

???知らない。歯医者としてさらっと答えられたらかっこ良かったのですが、全く知りませんでした。 ということで調べてみました。

なんと!紀元前5千年のバビロニア人は、麻の繊維を指に巻き、歯の清掃をしていたらしいです。 そうして歯磨きは、バビロニア人からギリシア人へ受け継がれていき、ギリシア人は、さらに口をすすいで歯ぐきにマッサージを施すことを考案したと言われています。

日本には、538年に仏教とともに歯木というものが伝わり、歯木の先1cm位を石で叩いたり、歯で噛み砕いたりしてボサボサにし、それを良く噛んで僧は仏前に礼拝する前に身を清めるために歯を磨いたそうです。これが、日本での歯磨き習慣の始まりです。 医学的な見地からでなく、信仰とともに始まったんですね。

現在の形になったのは1498年で(ちゃんとこんな正確なデータがあるのにびっくりです!)、中国の皇帝が世界初の歯ブラシを使い始めました。この歯ブラシは、骨や竹の台に、豚の固い毛をかまぼこ形に植え付けたもので、歯の衛生はこのときから向上し始めたのです。

一方、江戸の庶民は房楊枝と歯磨き粉とを使用し、歯磨きを行なうことが日常習慣となっていました。房楊枝とは、小枝の先端を煮て叩き、針ですいて木の繊維を柔らかい房状にしたもので、当時の浅草寺には200軒もの房楊枝屋が並ぶほどの繁盛ぶりだったみたいです。

その後、1903年に小林富次郎商店(現在のライオン)が「萬歳歯刷子」を発売しました。 ライオンさん凄いです。

ちなみにナイロンで作った毛先が出来たのは1938年のアメリカです、ちょうどこの頃、中国で内戦や日本との戦争が起こり、東アジアの豚の毛が手に入りにくくなっていて開発されたのです。

調べてみると、なかなか興味深かったです。 昔っから、人は、歯磨きをした方が良いってことを本能的に分かっていたのですね。

子供を産むとカルシウムを取られて歯がボロボロになる?

明けましておめでとうございます。井関です。

今回はいまだにささやかれている歯に関する迷信について書こうと思います。 先日、古くからの友人の女性に久しぶりに会いました。 すると、マタニティーマークを付けているではないですか。

「おめでとう、良かったね。」と声をかけると、

「ありがとう。そういえば、結婚して引っ越してから歯医者に行ってないから心配なんだよね。だって、子供産むと歯がボロボロになっちゃうでしょ?」

「それは迷信だよ。そんなことないよ。」

「でも、子供にカルシウムを取られて歯がボロボロになるって言われてるよね?」

彼女は、わりと歯に関心を持っている人だし、歯磨きもしっかりできる人です。 でも、いまだにそんな迷信を信じているのか?と思いました。 また、同様の話を歯科関係者で無い人に聞いてみると、 「え?そうじゃないの?」 と半数以上の人が答えてました。

じゃあ、実際はどうなのかいうと半分正解で、半分は間違いです。

東京医科歯科大学の植野正之准教授らのグループは、昨年こんな疫学調査の結果を発表しました。 1990年に秋田県に住んでいた40~59歳の男女に歯科に関するアンケート調査をし、2005年に歯科検診を受けた約1200人(男性562人、女性649人)の結果を解析し、女性は出産回数を「0回」から「4回以上」まで5グループに分けて、親知らずを除く28本の永久歯のうち残っている数を比べました。 すると、4回以上出産しているグループの残っている歯は約15本。出産が0回の約18本や1回の約19本に比べて約3本少なかった。回数が多くなると残っている歯の数が減っていたのです。男性では子供の数別に比べたが、残っている歯の数と関連はなかった。

結論は、「出産回数が増えると将来、歯を失いやすくなる」

しかし、これは子供にカルシウムを奪われて歯がボロボロになって歯を失ったわけではありません。口の中で出来上がっている歯からカルシウムが溶けて子供の栄養になることは絶対に無いのです。

では、何故そうなるのでしょう?

原因として考えられるのは、

①つわりによって歯磨きがおろそかになる

②酸性のものを欲して、食べることにより口の中が酸性になる

③ホルモンの分泌量の増加により特定の細菌が口の中に増えて妊娠性歯肉炎になる(妊婦さんの半数以上がなると言われている)

④妊娠、授乳中に歯科医院にかかるのが難しかったり、歯科治療が出来なかったりと思い込み、治療しなければいけなかったり、治療途中の歯が放置される

⑤出産直後は授乳のために、なかなか寝られなかったりして、歯磨きがいつもの通り出きずおろそかになる

⑥優先順位が子供が1番で、自分の事が後回しになってしまう

決して、子供にカルシウムを取られて歯がボロボロになるわけではありません。 これらの事が色々重なって、歯が悪くなることが多いんですね。 なので、妊娠が分かったら早めにご相談ください。 安定期(妊娠5~8ヶ月)であれば心配することなく治療ができますので。

歯の資産価値は?

こんにちは、井関です。
今回はちょっといつもとは違った切り口で書いてみようと思います。

「歯1本は金額にしたらいくらなのか?」
という疑問を抱いたので調べてみました。

日本予防医学協会が調べたところ、
一般の人が思う価値は、
歯1本 約35万円 口の中全部で 973万円
だそうです。
これを高いと思うか安いと思うかはその人の価値観だと思いますが、

歯科医師が思う価値は、
歯1本 約104万円 口の中全部で 2913万円
だそうです。

また、ある交通事故による歯の賠償請求額では、 
1本80万円 との判例が出ました。
そうなると口の中の歯の本数は28本(親知らずは除く)なので、
80万円×28本=2240万円

そうなるともともと口の中には、
2240万円の価値を持っていると言えるかもしれません。

ちなみにアメリカで同様のアンケートを国民に対して取ったところ

1本500万円
と答えてるそうです。
そうなると500万円×28本=1億4000万円

日本人とアメリカ人の歯に対しての価値観が違うのが良くわかります。
まあ、このアメリカでのアンケートがどこの地域で取られているかわかりませんが。
皆さんは、どう思いますか?
ウケデンタルオフィスでは1本の歯をいかに残すか毎日取り組んでおります。
詳しくはホームページをご覧ください。

夏休み

ウケデンタルではお盆の期間一週間夏休みを頂いておりました。

皆様はどのような夏休みを過ごされましたか?

私は、小学校時代の同級生に会いに石垣島に行ってきました。

石垣島でのもう一つの目的は、前回のブログにも書きましたが、

マンタと一緒に泳ぐことです。しかし、天候には恵まれたのですが、

風が強くマンタを見に行くツアーは中止となり、非常に残念でした。

でも海は非常にきれいで、凄い透明感!そして熱帯魚の魚群!

また、風景も美しくどこに行っても感動!素晴らしかったです。

そして、想像以上に食べ物が美味しく、泡盛がすすみました。

いやー、良い夏休みでした。

皆様、こんにちは井関です。