サージカルガイドとは?インプラント治療の確実性が高まる理由を解説
サージカルガイドとは?

サージカルガイドは、インプラント手術時に使用するマウスピース型の器具です。
CT画像とコンピューターシミュレーションを基に作製され、人工歯根を最適な位置、角度、深さに埋入するためのガイドのような役割を担います。
サージカルガイドは、プラスチック製のマウスピースのような形で埋入箇所には穴が開いています。
穴の位置に従って埋入することで、事前にシミュレーションした理想的な位置、角度、深さに収まるよう設計されています。
これにより安全性と精度が向上し、インプラント治療の質を高めることが可能です。
サージカルガイドのメリット
①神経や血管を傷つけるリスクを大幅に軽減

インプラントを埋め込む際に神経や血管を傷つけてしまうと、大量出血や術後に麻痺が残る可能性があります。
サージカルガイドを使用することで、安全にインプラント治療を行うことができるのです。
事前にCT画像から神経や血管の位置、骨の状態などを把握し、コンピュータ上でシミュレーションをすることで神経などを避けて安全に埋入できます。
十分なシミュレーションを行うことで、神経や血管を傷つけるリスクを軽減します。
②手術時間が短い
サージカルガイドを使用すると手術の時間が大幅に短縮されます。
通常のインプラントに比べ、歯肉の切開、剥離、骨を削る量が最小限に抑えられるからです。
通常のインプラント手術では1~2時間に及ぶ手術が、サージカルガイドを使用すれば15分程度で終わることもあります


③歯茎を切らずにインプラントを挿入できる

サージカルガイドを使用することで、従来のインプラント治療で必要だった歯ぐきの大きな切開を避けることができます。
ガイドに沿って処置を行うことで、血管や骨の状態に合わせた適切な位置に小さな穴を開けるだけでインプラントを埋入できるため、歯ぐきへのダメージが最小限に抑えることが可能です。
そのため、術後の痛みや腫れが大幅に軽減され、傷の治りも早めます。
このような「フラップレス(無切開)・インプラント」と呼ばれる方法は、患者の身体的負担を軽減し、手術への不安も和らげられます。
④美しい見た目に仕上がる

サージカルガイドは、インプラント治療の安全性向上だけでなく、美しい仕上げることが可能です。
CT検査データとシミュレーションに基づいて作製されるため、機能性と審美性の両面で最適な位置にインプラントを埋入できます。
隣接する歯と適切な位置で埋入できるので、長期間自然で美しい仕上がりが期待できます。
サージカルガイドを使用することで、事前に計画した通りの正確な位置に穴を開けられるため、安定した審美性の高い結果が得られ、患者の満足度向上につながります。
サージカルガイドのデメリット
①対応可能な歯科が限られている

サージカルガイドを使用したインプラント治療を行うためには、専用の設備や機器、そして知識と経験が必要です。そのため、すべての歯科クリニックで対応できるわけではありません。歯科用CTやデジタルシミュレーションソフトなどの機材を導入し、それらを使いこなせる歯科医師が在籍している必要があります。
②手術時の臨機応変な対応が難しい

サージカルガイドは事前の治療計画に基づいて作製されるため、手術当日に計画通りに進められない状況が発生した場合、臨機応変な対応が難しくなります。例えば、骨の状態が想定と異なっていた場合などは、サージカルガイドを使わずに手術を進める判断が必要になることもあります。
ウケデンタルでは2005年の開院から様々な患者さまの症状と向き合ってきました。サージカルガイドをはじめ、世界水準の最新技術を積極的に導入しております。ぜひインプラント治療を検討されている方はご相談ください。
サージカルガイドはなぜ必要か?
サージカルガイドが必要な理由

日本顎顔面インプラント学会のアンケート調査によれば、インプラント治療におけるトラブルで最も多いのが神経損傷で37.5%、次に多いのが上顎洞(副鼻腔とよばれる空洞の一つ)への悪影響です。
いずれもインプラントの埋入位置(インプラントポジション)が不適切であることが原因です。
そのため最適な位置に埋め込むためにもサージカルガイドの需要が高まっているのです。
サージカルガイドを使用しないリスク

サージカルガイドを使用しない場合、インプラント治療にはいくつかのリスクが伴います。
例えば、埋入位置の誤差によって神経や血管を傷つける可能性が高くなります。
特に下顎の下歯槽神経や上顎洞付近では、これが原因で神経麻痺や出血といった問題が起こることがあるのです。
また、インプラントが理想的な位置からずれて埋入されることで、噛み合わせが悪くなったり、見た目の仕上がりに影響を与える可能性があります。
さらに、手術時間が長引き切開範囲が広くなることで、術後の腫れや痛みが強くなる傾向も見られます。
サージカルガイドが必要なケース
・難易度が高いケース
骨の厚みや高さが不十分な場合、または神経・血管が近接している場合、さらに上顎洞に近い位置でのインプラント埋め込みでは、サージカルガイドを使った手術が推奨されます。
・複数のインプラントを埋入するケース
複数のインプラントを同時に埋め込む際は、角度や位置が重要となります。
確実に行うためにもサジカルガイドを使った手術が望ましいです。
サージカルガイドとステントの違い
インプラント治療には「サージカルガイド」の他にも「ステント」が使用されます。
ステインも、インプラントを正確な位置に埋入するためのガイドをし手術の精度を向上させるための器具です。
しかし、それぞれの役割や使い方には違いがあります。
サージカルガイド | ステント | |
---|---|---|
役割 | インプラントの埋入位置や角度を正確に測り、手術の安全性と精度を向上 | インプラント埋入位置を正確に診断するための補助器具 |
製作方法 | 患者さまのCTスキャンや3D画像を基に設計し、専用の機械を用いてオーダーメイド | 歯科医師が手作業で作成することが多い |
費用 | 製作に手間がかかり、専用の機材も必要で費用が高くなる傾向がある | 製作が比較的簡単で、費用がサージカルガイドより低い |
具体的にどのような違いがあるのかを理解し、患者さまの口腔内の状態や予算、歯科医師の判断などを総合的に考えて決めていくことが大切です。
サージカルガイドを用いたインプラント治療の流れ
CTスキャンによる三次元的な診査

当院ではインプラント予定の患者様には必ず歯科用CTを撮らせていただき、診査・診断を行います。CT撮影により、二次元的なレントゲンからでは分からなかった骨の密度、神経、血管の位置が立体的により正確に確認できます。
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シミュレーションソフトによる確認

CT画像をもとに、コンピュータ上でインプラント手術のシミュレーションを行います。ここでインプラント埋入の位置、インプラント体のサイズなどが決定されます。
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サージカルガイドの作成

シミュレーションデータをもとに、3Dプリンターによるサージカルガイドの作製をオーダーします。シミュレーション通りのサージカルガイドが届くと、いよいよ手術の準備が整います。
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サージカルガイドを装着した状態で手術

サージカルガイドを口腔内に装着した状態でインプラントの手術がスタートします。歯科医師は状況を見ながら、ガイドに沿って、手術を進めます。
サージカルガイドに関するよくある質問
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Q
サージカルガイドを使用する際の注意点はありますか?
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A
CT撮影データに基づく正確な治療計画の立案が重要です。手術時には、ガイドが口腔内で正しく装着されているか確認し、慎重に手術を進める必要があります。予期せぬ事態には柔軟に対応することも大切です。
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Q
サージカルガイドを使用したインプラント治療の成功率は?
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A
一般的にインプラントの成功率は上顎で92~94%、下顎で95~98%とされており、サージカルガイドを使用することでさらに精度が向上します。CTやシミュレーションソフトを用いた事前の詳細な計画と、ガイドによる正確な埋入により、インプラントの位置や角度のずれを最小限に抑えることができます。