サージカルガイドを用いたインプラント治療
サージカルガイドは、コンピューターシミュレーションによりインプラントの正確な埋入を可能にします。術後の痛みを最小限に抑える画期的なインプラント治療法です。
インプラントと治療トラブル
インプラント治療がブリッジ、入れ歯と並んで一般的な選択肢になってきた現在、インプラントのトラブルも報告されるようになりました。
日本顎顔面インプラント学会のアンケート調査によれば、インプラント治療におけるトラブルで最も多いのが神経損傷で37.5%、次に多いのが上顎洞(副鼻腔とよばれる空洞の一つ)への悪影響です。
いずれもインプラントの埋入位置(インプラントポジション)が不適切であることが原因です。
正確な埋入を可能にするサージカルガイド
サージカルガイドと呼ばれるインプラントポジションをサポートする装置を使用してインプラント手術を行うことで、神経などを傷つけることなく、適切な位置にインプラントを埋入することが可能になります。
よりリスクを抑え、安心してインプラント治療を受けていただくために、当院でもサージカルガイドを導入しています。
サージカルガイドとは?
サージカルガイドとは、インプラント手術用のマウスピース型装置です。
ドリルを固定する穴があいているため、歯肉を大きく切り開く必要がなく、インプラントを埋入する位置や深さ、角度のズレをほぼなくすことができます。
安全性への配慮に加え、インプラント治療の精度向上のため、当院ではサージカルガイドを導入しております。
サージカルガイドを用いたインプラント治療の5つの特徴
①事前シミュレーションで損傷を防げる
インプラント治療を行う際には、それぞれの患者様の骨の厚み、緻密さ、噛み合わせの力、位置等を考慮したうえでインプラントの長さ、太さ、位置を決めていきます。
事前にCT画像から神経や血管の位置、骨の状態などを把握し、コンピュータ上のシミュレーションを繰り返して適切な埋入計画を立案します。このシミュレーションデータを基に、サージカルガイドは作成されます。
インプラントは神経や血管等の構造を直接傷つけないように、これらから2mm以上離して埋入するとされています。サージカルガイドを使用した場合の誤差は0.99mm~1.24mm程度であるため、事前に十分なシミュレーションを行うことで、損傷を防ぐことができます。
②手術が早く終わる
サージカルガイドを使用すると手術の時間が大幅に短縮されます。
通常のインプラントに比べ、歯肉の切開、剥離、骨を削る量が最小限に抑えられるからです。通常のインプラント手術では1~2時間に及ぶ手術が、サージカルガイドを使用すれば15分程度で終わることもあります。
③術後も痛くない
サージカルガイドを使用したインプラントは、術中はもちろん術後の痛みも小さいことが特徴です。
一般に、手術による身体的負担(侵襲)が大きいほど、術後の痛みや腫れ、出血は大きくなります。サージカルガイドによるインプラントでは、歯肉を大きく切開剥離しないため、当然縫合も必要ありません。
サージカルガイドを用いると非常に低侵襲な治療が可能なため、術後の痛みや腫れが少ないことに驚かれる患者様も多くいらっしゃいます。これまでに当院で治療を受けられた方のほとんどが「痛くなかった」と回答しています。
④大事な組織を守るために
口の中には重要な神経、血管、構造がたくさん存在します。 二次元的なレントゲン情報のみで安易な診断を行うと、これらの重要な組織も傷つけてしまう危険があります。
CTは三次元で撮影を行うため、レントゲン写真ではわからない、顎骨の中にある神経や血管まで立体的に把握できます。 当院ではよりリスクを抑えて手術を行うため、CTから得られたデータをもとに、手間を惜しまずに何通りものシミュレーションを行い、サージカルガイドを作成します。
⑤経験豊富な医師が担当するから安心
サージカルガイドは世界的には多くの実績がある治療法です。とはいえ、「誰が使っても簡単にインプラント治療が成功する」というような魔法の道具ではありません。
歯科医師に特殊な技術、知識が必要であり、工程が多く手術の準備に時間がかかるなどの理由から、日本国内でサージカルガイドを取り扱っている歯科医院はまだ少数です。
当院では経験豊富なドクターがサージカルガイドを用いることで、より確実で安心なインプラント治療を提供できると考えています。
サージカルガイドを用いたインプラント治療の流れ
CTスキャンによる三次元的な診査
当院ではインプラント予定の患者様には必ず歯科用CTを撮らせていただき、診査・診断を行います。CT撮影により、二次元的なレントゲンからでは分からなかった骨の密度、神経、血管の位置が立体的により正確に確認できます。
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シミュレーションソフトによる確認
CT画像をもとに、コンピュータ上でインプラント手術のシミュレーションを行います。ここでインプラント埋入の位置、インプラント体のサイズなどが決定されます。
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サージカルガイドの作成
シミュレーションデータをもとに、3Dプリンターによるサージカルガイドの作製をオーダーします。シミュレーション通りのサージカルガイドが届くと、いよいよ手術の準備が整います。
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サージカルガイドを装着した状態で手術
サージカルガイドを口腔内に装着した状態でインプラントの手術がスタートします。歯科医師は状況を見ながら、ガイドに沿って、手術を進めます。